研究課題
脊髄損傷後の代償性神経回路形成における大脳皮質活動の役割を解明し、それらを効果的に促進する治療法の開発を行うことを目的とする。そのため、脊髄損傷患者を対象とした研究と脊髄損傷動物モデルを対象とする研究を並行して行なった。霊長類脊髄損傷モデルは、リーチングタスクのトレーニングに引き続き両側大脳半球に頭蓋内電極を留置した。リーチングタスクがほぼ達成できた時点で下部頚椎レベルの右側脊髄を半切し脊髄損傷モデルを作成した。脊髄損傷前ならびに損傷後に経時的にタスクと同時に皮質脳波測定を行った。これらのデータを右運動麻痺の回復にともない経時的に収集した。これまでにモデルの作成に成功した5個体について頭蓋内電極から得られた皮質脳波についてその運動機能回復との相関について解析を行なった。その結果、右の脊髄損傷直後には損傷前に比較し左運動感覚野でのγ帯域のパワーの低下ならびにβ帯域の位相とγ帯域の振幅のPhase amplitude coupling (PAC) の低下が観察され、機能回復期においては、PACの増加に続きγ帯域のパワーの回復が観察された。慢性期完全脊髄損傷患者を対象とする研究では、22名の慢性期脊髄損傷患者の脳磁図を収集し、29名のコントロール群の脳磁図データを解析した。 安静時の脳磁図データの比較では脊髄損傷患者の前頭前野眼窩部以外の前頭葉の広範に γ帯域の活動が低下しているとともに、前頭葉においてβ帯域の位相とγ帯域の振幅のPACが上昇していた。動物モデルおよび脊髄損傷の患者データからは脊髄損傷後の運動障害の生理学的特徴量として β帯域の位相とγ帯域の振幅のPACが候補として挙げられた。PACやγ帯域のパワーについての臨床的意義を検討し、今後のニューロフィードバックによる機能回復促進治療につなげる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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