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2018 年度 実績報告書

メカニカルストレスによる運動器炎症の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 18H04088
研究機関国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)

研究代表者

澤田 泰宏  国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院 臨床研究開発部(研究所併任), 臨床研究開発部長 (50313135)

研究分担者 原田 伊知郎  社会医療法人社団蛍水会名戸ヶ谷病院(名戸ヶ谷研究所メカノメディスン部門), メカノメディスン部門, 主任研究員 (00361759)
今村 武史  鳥取大学, 医学部, 教授 (00552093)
齋藤 琢  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
篠原 正浩  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (60345733)
吉野 大輔  東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80624816)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードメカニカルストレス / 抗炎症 / 身体不活動 / 筋萎縮
研究実績の概要

(1)骨格筋局所へのメカニカルストレスによる廃用性筋萎縮抑制の分子メカニズムに関する基礎的研究
・マイルドな筋収縮時に生じる筋内圧の変化(50 mmHg)を再現するマッサージ様の局所介入(局所的周期性圧迫)が、マウス後肢不動化による筋萎縮(廃用性筋萎縮)を抑制すること・この局所的周期性圧迫による廃用性筋萎縮抑制効果は、単球由来のマクロファージを除去すると消失することなどから、マクロファージにおける炎症反応、分けてもMCP-1発現の抑制が関与していると考えられること・局所的周期性圧迫は組織内の間質液を動かす(間質流を促進する)こと・局所的周期性圧迫がもたらす間質流により間質に存在する細胞に1 Pa(パスカル)程度の剪断応力刺激(シアストレス)が加わること・培養マクロファージに50 mmHgの静水圧を負荷すると炎症反応が促進され、0.5 Paのシアストレスを負荷するとMCP-1の発現が抑制されること
から、廃用性筋萎縮には間質液の滞留により局所のマクロファージにシアストレスが加わらなくなったことで増悪する炎症反応が関与していること及びマッサージ様の介入が廃用性筋萎縮の予防・治療となり得ることを示し、国際学術誌(Clinical Science)に論文を発表した。

(2)身体運動による脳機能維持に関する基礎的研究
適度な運動を模するマウス及びラットのトレッドミル走行(速度は、ラットで毎分20m、マウスで毎分10m)で、頭部に1 Gの衝撃(加速度)が加わり、前頭前皮質(prefrontal cortex)におけるセロトニン2A受容体シグナルが抑制されることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オステオサイトにおけるCas欠失で生じる骨量の低下が炎症性反応を介していることを示す知見が得られた。
マウス後肢不動化による炎症誘導の実験系は安定しており、メカニカルストレスによる介入でもたらされる炎症抑制の再現性は極めて高い。
培養細胞実験でもメカニカルストレスによる炎症抑制の対照として静水圧負荷による炎症促進の実験系を確立することができた。

今後の研究の推進方策

不動化により炎症が誘導されたマウスの後肢骨格筋及びその周囲組織に反復性圧迫を加える実験系を発展させる。間質細胞における MCP-1の発現促進が不動化で生じる炎症に重要な役割を果たすことが分かったので、細胞種特異的にMCP-1の発現を欠失する遺伝子改変マウスなどを導入し、廃用性筋萎縮及び身体活動による筋恒常性維持の分子メカニズムの詳細を解析する。さらに、MCP-1の発現を指標に、炎症抑制効果が最大となるメカニカルストレスの強度、頻度、モードを決める。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Local cyclical compression modulates macrophage function in situ and alleviates immobilization-induced muscle atrophy2018

    • 著者名/発表者名
      1.Saitou K, Tokunaga M, Yoshino D, Sakitani N, Maekawa T, Ryu Y, Nagao M, Nakamoto H, Saito T, Kawanishi N, Suzuki K, Ogata T, Makuuchi M, Takashima A, Sawada K, Kawamura S, Nakazato K, Kouzaki K, Harada I, Ichihara Y, Sawada Y
    • 雑誌名

      Clinical Science

      巻: 132 ページ: 2147~2161

    • DOI

      10.1042/CS20180432

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Effects of Treadmill Training Combined with Serotonergic Interventions on Spasticity after Contusive Spinal Cord Injury2018

    • 著者名/発表者名
      Ryu Youngjae、Ogata Toru、Nagao Motoshi、Sawada Yasuhiro、Nishimura Ryohei、Fujita Naoki
    • 雑誌名

      Journal of Neurotrauma

      巻: 35 ページ: 1358~1366

    • DOI

      10.1089/neu.2017.5400

    • 査読あり
  • [学会発表] 体表からの局所的反復性圧迫は身体不活動により促進される単球/マクロファージの活性を抑制し骨格筋の萎縮を緩和する2018

    • 著者名/発表者名
      澤田泰宏、斎藤久美子、徳永正邦、市原克則、吉野大輔、前川貴郊、緒方徹、長尾元史
    • 学会等名
      第91回日本生化学会大会
  • [学会発表] 身体へのメカニカルストレスとしての運動の抗炎症作用2018

    • 著者名/発表者名
      澤田泰宏
    • 学会等名
      第39回日本肥満学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Local Cyclical Compression Modulates Macrophage Function In Situ and Alleviates Immobilization-Induced Muscle Atrophy. 10th Anniversary Symposium, Mechanobiology Institute.2018

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Sawada
    • 学会等名
      10th Anniversary Symposium, Mechanobiology Institute of Singapore
    • 招待講演
  • [図書] カレントテラピー2018

    • 著者名/発表者名
      澤田泰宏, 﨑谷直義
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      ライフメディコム
  • [図書] 別冊BIO Clinica2018

    • 著者名/発表者名
      澤田泰宏
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      北隆館

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公開日: 2019-12-27  

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