IoTを始めとして多種多様なビッグデータが発生しており、データ集合の特徴抽出や指定条件に合致するデータの取得など、検索技術へのニーズも多様化している。既存研究では、多種多様な検索要求に対して、個別にデータ構造(インデックス)とオンライン検索アルゴリズムを構築しており、メモリ・ストレージのコストや構築・メンテナンスの手間が膨大となる。そのため、既存研究の考案技術のうち、実際のシステムにおいて利用されているものはほとんどない。そこで本研究では、多様な検索要求を満たすことができる統一的なインデックス基盤を確立することを目的とし、以下のように二つの研究課題を推進した。 課題1:多様な検索要求を満たす統一的なインデックス構造の構築 本課題では、多様な検索要求に対して、それぞれの検索の種類で効率化(探索空間の枝刈り・絞込みなど)に用いることのできる数学的・理論的アイデアを整理もしくは新たに定義する。そして、複数の異なる検索要求において共通して利用できる効率化手段を検討した。本研究課題の最終年度にあたる2022年度は、これまでの成果をさらに発展させて、さまざまな高度な検索に適用可能なグラフインデックスの構築を進めつつ、研究期間全体で達成した成果の取りまとめを行った。 課題2:統一的なインデックス構造上のオンライン検索アルゴリズムの構築 主にグラフインデックスを想定して、新たな検索の概念を考案するとともに、その高速なオンライン検索アルゴリズムを設計・実装した。さらに、本研究のとりまとめとして、これまでに考案した検索技術を整理し、インデックスの共通化の観点から体系化を進めた。本研究で開発したインデックスやオンライン検索アルゴリズムは、国際会議や論文誌で研究成果を公表したものを中心に公開している。これにより、他の研究者や技術者による考案技術の利用を可能とし、研究成果の社会還元を促進している。
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