研究実績の概要 |
IoT時代が到来し, 製造・産業界, モビリティ・交通インフラ, 医療・ヘルスケアなど, 広範な分野において技術革新が生み出され新たな価値が創出されると期待されている. 一方, IoTデータの急増に伴い, クラウドサーバへのデータ処理の集中, ネットワーク回線の逼迫, データ送信の遅延などの技術的問題が深刻化している. 現在のIoTに対する取り組みは実証フェーズのものが多くIoTを用いた価値創出に重点が置かれているため, 上記の問題の抜本的な解決は後回しとなっている. 代表者らは, これまでに, 入力データや計算に用いるデータ構造に潜む冗長性の除去に基づいて計算そのものの効率化を図る「情報爆縮」の研究を行ってきた. 本研究プロジェクトでは, この情報爆縮技術を核に据え, 理論と実用的の両面から, エッジ側とクラウド側の処理を効率化する技術を開発し低コストでデータを収集・集約・送信・蓄積・検索・解析できる新しいIoTデータ処理基盤の構築を目指す. このために, 以下の3つの研究項目をおいて研究を行った. (A) 圧縮データストリームに対するリアルタイム抽出・集計技術. (B) 圧縮データに対する高速質問処理技術. (C) 解釈可能な圧縮データ錬成技術. 前年度に引き続き, 特に(A), (B)に力点を置いて研究を行い、(A)スライド窓における極小ユニーク文字列の列挙・回文木の構築/維持のアルゴリズム、(B)接尾辞配列構築アルゴリズムを基にした高速な圧縮索引構造の提案等、多くの研究成果を得た.
|