研究課題/領域番号 |
18H04113
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阿久津 達也 京都大学, 化学研究所, 教授 (90261859)
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研究分担者 |
永持 仁 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70202231)
細川 浩 京都大学, 情報学研究科, 講師 (90359779)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 逆問題 / グラフアルゴリズム / 特徴ベクトル / ニューラルネットワーク / バイオインフォマティクス |
研究実績の概要 |
今年度は以下の研究を行った。 (1) ニューラルネットワークについての原像問題に取り組み、学習した階層型ニューラルネットワークに対し、出力ベクトルから入力ベクトルを求める問題を混合整数線形問題(MILP)として定式化し、MILPソルバーを用いて入力ベクトルを計算する手法を開発した。この手法を実装し、Core i5 1.8GHz CPU上でCPLEXソルバーを用いた予備的な計算機実験を行った結果、入力層が200頂点、中間層(一層)が200頂点、出力層が1頂点の場合に2秒以内で計算結果を得ることができた。 (2) ニューラルネットワークの応用面についても研究を行い、遺伝子発現データと他の情報を統合して解析するための2種類の手法を開発した。一つは遺伝子発現データとタンパク質相互作用ネットワークデータを統合して解析する手法であり、タンパク質相互作用ネットワークデータをグラフらプラシアンを用いて2次元点集合に変換し、遺伝子発現データを対応する点の強度とすることにより、各サンプルのデータを画像データとして扱えるようにし、それに対し深層学習による画像解析技法を適用することにより腫瘍細胞の分類を行う。もう一つは遺伝子発現データと遺伝子間の進化的距離を統合して解析する手法であり、進化的距離データに多次元尺度構成法を適用することにより各遺伝子を2次元点集合に変換し、前者と同様の手法を適用することにより、腫瘍細胞のサブタイプの分類を行う。いずれも公開データから取得した遺伝子発現データを用いた計算機実験により、その有用性を示した。 (3) 木構造に対する離散原像問題に取り組む事前研究として、無順序木の包含問題(Unordered Tree Inclusion)問題の計算量改善に取り組み、最大次数に関する指数時間依存性を改良することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定とは少し異なる進展をしているが、有用な研究成果が得られつつあり、順調に進展していると判断できる。特に階層型ニューラルネットワークに関して、短期間に実際に逆問題を厳密に解く手法が開発できたことは有用な成果であると考えている。与えられた特徴ベクトルからのグラフ推定問題、特に化学構造の推定問題についても研究は大きく進展しているが、アルゴリズムの複雑さのために、その実装や検証に時間を要している。また、少数の頂点に対する時系列データからの内部状態の推定については、内部状態の推定ではなく、状態の制御という方向で別の展開を示しているが、興味深い成果が得られつつある。よって、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
階層型ニューラルネットワークの逆問題に関しては、実際の化学構造データ・化学活性データを用いて、その有用性の評価や手法の改良を進めている。また、ニューラルネットワークの活性化関数としてReLU関数を用いた場合は厳密解を得ることができるが、シグモイド関数を用いた場合にはそれを線形区分関数で近似することが必要であるので、どのように近似するか試行錯誤が必要である。 特徴ベクトルからのグラフ推定問題については実装や検証に時間を要していたが目途がたちつつあるので、成果をまとめる方向で研究を進めていく。 少数の頂点に対する時系列データからの内部状態の推定については前述のように別の展開を示しつつあるが有用な結果が得られそうなので、その方向で研究を進展させる。
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