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2019 年度 実績報告書

データ駆動型医療用超音波診断システムによる心機能の自動評価

研究課題

研究課題/領域番号 18H04122
研究機関東京大学

研究代表者

小谷 潔  東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00372409)

研究分担者 武田 憲彦  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40422307)
仙波 宏章  東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80747923)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード医療用超音波診断
研究実績の概要

本年度は昨年度の超音波検査システムについて,さらに被検査者の位置姿勢・プローブの位置姿勢情報に基づいて適切な目標位置および姿勢を割り出し,現状位置からのロボット駆動計画を立て,実際にロボットを駆動するシステムを構築した.さらに,心エコー動画から拍動の特徴を抽出するためのモード分解法について検討を行った.併せて心筋組織で生じている組織リモデリングの分子機構を検証した。
以下にそれぞれについて述べる.
適切な超音波自動診断手法を構成するためには,被検査者の位置姿勢情報,呼吸に加えて超音波プローベ位置姿勢を取得し,目標位置までの駆動計画をたてる必要がある.そこで,前年度のシステムを超音波を把持した多関節ロボットと組み合わせることで,プローブを目標とする位置・姿勢に誘導するアルゴリズムと駆動システムを構築した.その結果,再帰的に駆動指令を行うことで適切な位置・姿勢へのプローブ誘導が可能であることを確認した.
また,心エコー動画から拍動の特徴を抽出するためのモード分解法の開発を推進した.心拍動の動画から適切な特徴を抽出するにあたり,動的モード分解に着目した手法を開発した.数理解析としてゆらぎを伴った構造物の周期運動について解析を行うことで,撮像位置が適切ではないデータの分離ができる可能性が示された.
さらに,組織低酸素環境を可視化する独自のイメージング技術を用いて、心臓リモデリング組織が低酸素環境にあることを明らかにした。興味深い事に心臓低酸素部位にマクロファージが集積することが判った。心臓マクロファージの低酸素シグナルは組織リモデリング、心臓線維化を抑制する役割を果たしている事、その分子機構としてサイトカイン Oncostatin-M分泌を介して線維芽細胞を不活化していることを見出した(Nat Com 2019)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自動心エコー動画撮像を行うにあたり,基本的なシステムの構築が当初の計画通りに進んでいるため.

今後の研究の推進方策

今年度のシステム開発によって,被検査者からの生体情報取得,リアルタイム解析,プローブ移動計画,ロボットの駆動という一通りのシステムが構築されている.今後は構築したシステムの検証と改良によって,自動取得,診断に向けた開発を進める.
具体的には,構築システムを用いて実際に心エコー動画撮像を行い,精度の検証,ロボット駆動動作の安定・高速化および必要に応じてさらなる精度向上に向けた改良を検討していく.
ロボット駆動動作に関しては安全かつ適切なスピードの駆動および適切な経路設計を模索していく.特に,本研究で用いているロボットは多関節型であるため,各関節での誤差が手先の運動誤差に累積しやすい構造となっている.一方で,外部モーションキャプチャの精度は目標としている駆動精度に対して十分に高いため,いかに外部座標系からの指示を適切な方法で駆動制御に活用できるかを検討する.さらに,超音波画像自体も駆動が成功したかどうかに関する情報をもっているため,超音波画像をリアルタイムで解析し,ロボット駆動計画に関与できるようなプラットフォームの開発にも取り組んでいきたい.最終的には探索的な手法と教師データに基づいた位置補正手法のバランスを取り,最適な撮像アルゴリズムを確立する.
さらに心筋組織リモデリングにおいて中心的に役割を果たすマクロファージ低酸素応答プロセスをより詳細に理解すべく、HIF-1α・HIF-2α特異的な低酸素応答様式を明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Macrophage hypoxia signaling regulates cardiac fibrosis via Oncostatin M2019

    • 著者名/発表者名
      H Abe, N Takeda, T Isagawa, H Semba, S Nishimura, M Suimye Morioka, Y Nakagama, T Sato, K Soma, K Koyama, M Wake, M Katoh, M Asagiri, M L. Neugent, J Kim, C Stockmann, T Yonezawa, R Inuzuka, Y Hirota, K Maemura, T Yamashita, K Otsu, I Manabe, R Nagai and I Komuro
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 10 ページ: 2824

    • DOI

      10.1038/s41467-019-10859-w.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cell Cycle Perturbation Induces Collagen Production in Fibroblasts,2019

    • 著者名/発表者名
      Masaki Wake, Norihiko Takeda, Takayuki Isagawa, Tatsuyuki Sato, Yu Nakagama, Masaki Suimye Morioka, Yasushi Hirota, Masataka Asagiri, Koji Maemura, Ichiro Manabe, Kazuaki Tanabe, Issei Komuro
    • 雑誌名

      Int Heart J.

      巻: 60 ページ: 958-963

    • DOI

      10.1536/ihj.18-710.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Therapeutic targeting of mitochondrial ROS ameliorates murine model of volume overload cardiomyopathy2019

    • 著者名/発表者名
      Kenichi Okamura, Yu Nakagama, Norihiko Takeda, Katsura Soma,Tatsuyuki Sato, Takayuki Isagawa, Yasutoshi Kido, Masaya Sakamoto, Ichiro Manabe, Yasutaka Hirata, Issei Komuro, Minoru Ono
    • 雑誌名

      J Pharmacol Sci.

      巻: 141 ページ: 56-63

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2019.09.005.

    • 査読あり
  • [学会発表] Phase Response Analysis and Mode Decomposition for Dynamics Governed by Fluid-Structure Interaction,2020

    • 著者名/発表者名
      Loe, I. A.,水野秀哉,杉野正和,小根山冬樹,小谷 潔,神保泰彦
    • 学会等名
      令和元年度電気学会研究会「マグネティックス/医用・生体工学合同研究会」
  • [学会発表] 動的モード分解を利用した心エコー動画の解析2020

    • 著者名/発表者名
      水野秀哉,小根山冬樹,杉野正和,Loe, I. A.,仙波宏章,神保泰彦,小谷 潔
    • 学会等名
      令和元年度電気学会研究会「マグネティックス/医用・生体工学合同研究会」
  • [学会発表] 心エコー検査の自動化および半自動化に向けた被験者の生体情報とプローブ操作術の検討2019

    • 著者名/発表者名
      小根山冬樹,水野秀哉,小谷潔,神保泰彦
    • 学会等名
      令和1年電気学会 電子・情報システム部門大会
  • [学会発表] 動的モード分解による心エコー動画の解析2019

    • 著者名/発表者名
      水野秀哉, 小根山冬樹, 杉野正和, 小谷潔, 神保泰彦
    • 学会等名
      令和1年電気学会 電子・情報・システム部門大会

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公開日: 2021-12-27  

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