研究課題/領域番号 |
18H04144
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
本多 牧生 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 上席研究員(シニア) (20359160)
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研究分担者 |
小栗 一将 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 招聘主任研究員 (10359177)
笹井 義一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 主任研究員 (40419130)
松本 和彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 准研究主任 (50359155)
Eko Siswanto 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 副主任研究員 (90726762)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 後方散乱計 / POC / マーチンカーブ / 時空間変動 |
研究実績の概要 |
本研究は海水中の粒子を光学的に観測し、従来の時系列式セジメントトラップに変わって海中粒子の存在量、沈降量などの時空間変動を明らかにし、粒子の鉛直輸送過程を数式化(西部北太平洋に適したマーチンカーブの提案)することを目的としている。そのため複数の後方散乱計を購入後、これらを船から吊り下ろしたり、また係留系に搭載したりして、海中粒子、特に粒状態有機炭素(POC)と後方散乱の時空間変動を観測してきた。2019年度に不具合が発生したが同年度には実施できなかった後方散乱計の修理および保守業務(光学系清掃、キャリブレーション)を、2020年度に行った。修理を行った後方散乱計を、2020年12月ー2021年1月に実施した海洋地球観測船「みらい」研究航海時に訪問した亜熱帯観測定点KEO、および集中観測を行った中規模低気圧性渦の複数点において、CTD付多連式採水器、もしくはFRRF観測装置とともに水深300mまで複数回、吊り下ろし、POCと後方散乱の関係に関する観測を行った。採水した海水中のPOCを陸上の元素分析計で測定し、同じ場所で測定された後方散乱データと統計解析を行った。その結果、POCと後方散乱とに有意な正の相関関係があること、ただし後方散乱計によって、両者の関係を示す係数が異なること、さらに後方散乱はセジメントトラップで保守される大型のPOCではなく、小型のPOCを観測している可能性が高いこと、などが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた保守点検とは異なる想定外の修理が発生し、計画より時期は後ろ倒しになったが、海中粒子を定量的に測定するために必要な後方散乱計の修理・保守点検を終えることができた。さらに実海域で行ったテスト運用の結果、動作良好を確認するとともに、本研究において重要なデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
修理、保守点検を行った後方散乱計を、2022年4月ー5月に実施予定の海洋地球観測船「みらい」研究航海において亜寒帯観測定点K2のハイブリッド係留系の複数層に搭載し、各層における後方散乱(=POC)の季節変動の時系列観測を開始する。回収は2023年度に行われる研究航海で行われ、その後に回収データを解析し、複数水深におけるPOCの季節変動が明らかとなることが期待される。
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