研究分担者 |
林 英男 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部計測分析技術グループ, 上席研究員 (10385536)
小林 能直 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354269)
小野 英樹 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (30283716)
松八重 一代 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50374997)
中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
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研究実績の概要 |
鉄スクラップをリサイクルして生産された鉄筋棒鋼中の合金元素として、Mn, Cu, Cr, Si, Ni, P, S, Mo, As, Sn, Co, B, Vがほとんどの試料で確認された。これらの元素の多くは、意図せずにスクラップから混入したものであると考えられた。リサイクル高機能材を生産するためには、これらの合金元素が材料特性に与える影響を理解する必要がある。規格より、主要な鉄鋼材の材料特性は、引張強度、伸び、降伏点、溶接割れ感受性、破壊靭性であることを明らかにし、それら特性への各元素単体での影響を調査した。ほとんどの元素で、引張強度と降伏点に対して機能向上に寄与し、加工性に悪影響を与えることがわかった。また、一般的な添加元素でなくスクラップ中の異物から混入する元素については、その影響が理解されていないことが明らかになった。これは特性への影響だけでなく、製鋼時の熱力学的パラメータについても同様であった。そこで、実験による新たなデータ測定と文献より溶鉄中循環性元素と種々の不純物元素間の熱力学データベースの構築を行った。溶鉄中のSnとの相互作用により、BやSiは活量が上昇し、Cuは活量が低下する傾向がみられた。今までほとんど調査されてこなかった「混入不純物の実濃度―製鋼中の挙動―材料特性への影響」の3つの関係について明らかにしようとした初の試みと言えよう。一方、熱力学的に製鋼中の元素挙動が明らかになっても、トランプエレメント除去は困難であるため、その濃度を制御するためには、異物からの混入を避ける必要がある。そこで、Mnを除き最も濃度の高いCuについて、その混入源を推計した。自動車や機械類が主な混入源と考えられてきていたものの、本研究により建築解体由来の鉄スクラップが主要な混入源であることを明かにした。
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