研究課題/領域番号 |
18H04151
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小野寺 真一 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50304366)
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研究分担者 |
齋藤 光代 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20512718)
山本 民次 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (40240105)
松森 堅治 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, グループ長 (40414445)
川島 滋和 宮城大学, 食産業学群(部), 准教授 (80404846)
清水 裕太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 研究員 (50625829)
廣瀬 孝 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (40305181)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 流域型農業環境革新 / 再循環システム / 沿岸生態系 / 地下水 / 土砂 / 地域社会 / 経済 |
研究実績の概要 |
現地調査結果の蓄積がある地下水流出型(A型:瀬戸内海沿岸広島)と地表水流出型地域(B型:沖縄沿岸)の農業流域で下記の通り研究を遂行した。 1)流域型再利用システムの最適化;①地表-地下水資源評価(水資源に及ぼす近年の気候変動の影響を評価する);(a)地表水・地下水の貯留量及び流出量変動、水使用量、水質をモニターした。(b)水循環量の評価及び予測のため、準分布型水文物質流出モデル(SWAT)、水移動・浸透数値計算モデル(Hydrus 2D)を整備し、既存データ(気象データ、河川流量、地下水位、揚水量など)を収集しデータベースを構築した。SWATモデルについては解析を行った。②肥料資源評価;(a)「流域水‐養分ハイブリッド再利用システム」(A型、広島)適用流域において、地下水中に蓄積した肥料成分資源量の調査を行った。(b)「土砂再利用システム」(B型、沖縄)流域において、蓄積した肥料成分資源量の調査を行った。③農地影響評価;(a)地下水の再利用にともなう地下水中の温室効果ガス(N2O,CH4)放出量について、新たに導入した機器(ピカロ社・測定器)による定量化の準備を行った。(b)再利用システム導入にともなう農地土壌の変化を評価するため試験地を設定した。④沿岸影響評価;(a)沿岸生態系の衰退を引き起こす臨界的な栄養塩流出量、土砂生産量について、既存の基準指標に加えて、最近の研究成果をレビューした。(b)沿岸流出量変動を推定するため、地下水湧出モデル及びSWATモデルの整備を行った。 2)再使用システム運用に向けた地域社会システムの構築;①環境経済評価として、主に沖縄流域で再利用システムの経済効果を定量化するため、社会経済的基礎情報を収集し、簡単な解析を行った。②地域社会システム構築に向けて、モデルケースとして、研究会及びシンポジウムを開催し地域住民からの情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者が個別に研究を進めるだけでなく、年間2回の研究会および2回のシンポジウム、さらには現地調査を共同で行うなど、進捗状況を確認しつつ進めることができた。 また、沖縄流域では国際農林水産業研究センター島嶼拠点および広島流域では共同研究者が所属する農研機構と実質的な共同研究関係を構築し、円滑な協力体制を築いていることも有益であった。特に沖縄では、石垣市役所やNPOとも連携したことも今後に向けて有益であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後に向けては、個別の課題については順調であるため、成果を出し発信していくこととともに、本研究の最終的な柱となる、2)②地域社会システム構築について、少しでも成果を積み上げていきたい。環境経済評価及び科学的な評価の結果を段階的に踏まえながら、一般的な土地利用-地形連鎖を想定して、農地(上流域)と居住地(下流域) 及び豊富な生態系(沿岸域)との相互関係及び利益の補完関係の確認しつつ、実現可能性のある地域社会システムを主に2つの地域で創成していく。
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