研究課題/領域番号 |
18H04152
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 宣子 九州大学, 農学研究院, 教授 (80253516)
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研究分担者 |
溝上 展也 九州大学, 農学研究院, 教授 (00274522)
作田 耕太郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (10274523)
渡辺 敦史 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10360471)
笠原 玉青 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10622037)
三谷 泰浩 九州大学, 工学研究院, 教授 (20301343)
藤原 敬大 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20637839)
久保田 哲也 九州大学, 農学研究院, 教授 (40243381)
知足 美加子 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40284583)
大槻 恭一 九州大学, 農学研究院, 教授 (80183763)
水野 秀明 九州大学, 農学研究院, 准教授 (80356104)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 土砂・流木災害 / スギ / 減災 / 森林所有者 / 作業道 / 文化 / 森林環境政策 / 復興 |
研究実績の概要 |
流木被害の要因調査として、①民有林と果樹園を対象に山腹崩壊の有無(有5,371点、無25,000点)を目的変数としたロジクティック回帰モデルを構築し分析し、山地崩壊は林齢と地質が崩壊有無との関係が大きく、20年生以下の幼齢木が有意に高く、20年生以上で人工林と広葉樹天然林は低く樹種の違いに有意な差はなかった。②一方、山地森林斜面崩壊と流木の地形・地質・植生等の現地調査、航空写真調査によって、流木発生は比較的に緩勾配でも発生し、樹木根の生育限界よりも深い場合が多いものの、花崗岩類地帯では浅くても発生し、針葉樹流木は広葉樹流木よりも流下しやすい傾向にあった。③スギ精英樹と崩壊地周辺のスギのDNA分析とクローン同定によって、崩壊地周辺のスギは全て精英樹とは異なる同一クローンのさし木であることが明らかとなった。④雨水配分と林分構造の関係を解析し、樹幹流量は立木密度の線形回帰式で推定可能であることを見いだした。 流木被害の影響調査では、①渓流区間の河川環境の回復過程を、河床材料、河床の安定性、有機物貯留について地質が異なる3流域の現地調査より、花崗岩を流れる渓流で細かな掃流土砂が多いことがわかった。②4つの崩壊地プロットを設定し、天然更新状況の現地調査に着手し、天然更新はシカが大きな影響を受けることがわかった。③流木被害をうけた森林所有者の林業経営、被災集落の農業経営と森林管理、豪雨被害後の原木市場の木材流通、流木を活用した地域住民による復興策の取り組みについて資料収集とインタビュー調査を行い、流木災害後、森林所有者の森林所有・管理意欲の低下がみられた。一方で、復興計画の話し合いの中で住民から防災や景観に配慮した森林づくりの話し合いが始まっていることを把握した。④流木および被災地木材を活用した彫刻作品の政策と、アートインスタレーションを制作し、その過程をビデオ映像として記録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
豪雨による流木発生の要因調査と分析は、計画どおりの進捗である。 一方、流木発生の影響調査(水環境への影響、天然更新状況、就業変化、スギの文化的価値意識)については、地質の異なる場所や所有者からの了解を得てプロットを設置し データ収集を始めたが、復旧工事によってプロット地に到達できなくなり、見直しが必要になった。また、2020年1月からのコロナウィスル肺炎の広がりによって、参与観察およびインタビュー調査を縮小、延期した項目があるため、データ収集が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
流木被害の要因に関する現地調査、流木の模型実験については非常事態宣言および九州大学の在宅勤務措置の解除をまって再開する。設定したプロットの天然更新調査は、復旧工事終了を待って、安全面での再開確認を行い、できるだけ早期に再開する。 当初予定していた土砂・流木被害の社会経済的な影響調査のための集落住民調査については、方法を見直す。具体的には、2018年度に制定された森林経営管理法による市町村の森林所有者の意向調査および森林環境譲与税の使途に関する行政資料の収集とこの2年間に構築した被災集落の復興協議会メンバーへの電話またはオンライン調査、市町村または森林組合を通じた森林所有者アンケートによるデータ収集とする。 スギの歴史・文化的価値調査では、参与観察という方法を見直し、2019年度に作成した被災地スギを使った東屋作品の作成行程の映像ビデオを活用した調査とする。災害をもたらしたスギに対する被災地元住民と都市住民の思いを語りのデータとして収集し、テキストマイニング分析で比較分析を実施する。 また、森林環境政策の合意形成の課題を研究分担者間で議論を進めるために、3ヶ月に一度は研究会を実施する。
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備考 |
被災流木を用いた木彫とアートガーデン(泰庵)についてのwebページ
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