研究課題/領域番号 |
18H04153
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中島 淳 立命館大学, 理工学部, 客員教授 (00309098)
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研究分担者 |
李 明香 立命館大学, 理工学部, 准教授 (00734766) [辞退]
吉川 直樹 立命館大学, 理工学部, 講師 (10583271)
宗本 晋作 立命館大学, 理工学部, 教授 (20581490)
惣田 訓 立命館大学, 理工学部, 教授 (30322176)
佐藤 圭輔 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30456694)
清水 聡行 立命館大学, 理工学部, 講師 (50584025)
近本 智行 立命館大学, 理工学部, 教授 (60388113)
神子 直之 立命館大学, 理工学部, 教授 (70251345)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自立型水・エネルギーシステム / 水再生循環 / 省・創・蓄エネルギー / 循環型社会 / レジリエンス社会 |
研究実績の概要 |
(1)水再生技術・水循環システム開発:平成30年度に引き続き、膜、紫外線、自然型浄化の技術開発を行った。オゾン等を用いた酸化処理による難分解性有機物の分解および生分解性向上の検討、雑排水を対象とした微生物と藻類を組み合わせた処理方法の検討(ラボスケールでの長期モニタリング実験)、様々な紫外線ランプを用いた微生物の増殖抑制実験や有機物の分解実験を行った。また、自然型の水処理技術として、アオウキクサを用いた実験を行った。さらに、受水域の水質形成機構調査や水資源・流域水循環系の健全化に向けた分析、途上国を対象とした雨水利用システムの調査やスラム地域における水利用および排水に関する実態調査を行った。 (2)建築設備・エネルギーマネジメント:平成30年度に引き続き、住宅の電源安定化の実大実証試験およびシミュレーションツールの整備を図った。とくに、電気自動車(EV)を「自走式蓄電池」と考え、太陽光発電(PV)により充電させ、CO2の排出量減少と交通利便性を両立させながら、V2Hシステム(Vehicle to Home System)によって建物と繋ぎ、VPPの実現を目指した。また、EVが建物から離れた時を想定し、V2Hと家庭用据置型リチウムイオン蓄電池(LiB)を組み合わせ、導入初期段階を想定して、V2HとLiBとの自己制御による給放電挙動を調査した。また、建築空間における空調・エネルギーマネジメントのために、エアコンと放射パネル併用時の熱環境とエネルギー性能を、非定常に予測する方法を検討した。 (3)システム提案・LCA評価:本研究で開発する技術の社会実装へ向けた自立型水・エネルギーシステムの検討を継続した。東南アジア地域において雨水利用・雑排水再生を導入した場合の環境面・経済面の効果について、ベトナムの複合型ビルを想定し、ライフサイクルアセスメントによって評価を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)水再生グループおよびエネルギーマネジメントグループにおいては、それぞれの研究計画にしたがって、膜、紫外線、自然型浄化の技術開発、および住宅の電源安定化の実証試験とシミュレーションツールの整備が継続され、順調にそれぞれの成果が得られている。 (2)また、システムおよびLCA評価グループにおいては、研究で開発する技術の社会実装へ向け、水再生技術・水循環システム開発と連動して研究がすすめられた。とくに、東南アジア地域を対象に、より対象が具体化され順調に成果が得られている。 (3)さらに、今後の水とエネルギーの技術を統合した自立型技術実装実験に向けて、具体的な方法に関しての検討も進められた。おおむね順調にその内容の検討が進捗しているが、さらに細部の計画の精査をすすめて実施してゆくものとする。 (4)ベトナム、中国、インドなどとの研究の共同・交流についても順調に進展し、論文や研究発表の成果が得られている。ただし、第4四半期からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する各国での感染拡大と対策等により、現在までにも研究計画進捗に一部影響が生じ始めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)膜、紫外線、自然型浄化の技術開発を継続する。具体的には、雑排水を対象とした微生物と藻類を組み合わせた処理方法の検討、オゾン等を用いた酸化処理による難分解性有機物の生分解性向上の検討、UV-LEDなどの様々な紫外線ランプを用いた消毒や効率的な促進酸化処理の検討、人工湿地法による水再生循環技術の検討を継続する。さらに、自立型水・エネルギーシステムの実証的研究を行うための装置を導入し、水量・水質のモニタリングを開始する。装置導入には、PVパネルや蓄電池等を組み込むことで、災害時も考慮した強靭なシステムを検討する。また、同様装置を池などの水の浄化・水利用のために導入する。こうした技術投入が水資源の安定化や水循環系改善に及ぼす影響を分析する。 (2)これまでに、外部からの制御がない状態で、V2HとLiB、PV、商用電源を連続する時の各機器の挙動が検証できた。また、自立ケースの実験により、V2H+LiBからの供給だけで日常負荷を賄うことができることを確認した。今後は、開発する技術の社会実装へ向けた自立型水・エネルギーシステムの検討を具体化する。令和2年度は、建築設備・エネルギーマネジメントにおける技術開発および実証の成果をシステムの評価・提案に組み込むため、実証モデルの設計を行い、モックアップの作成を行う。また、エネルギーマネジメント行うための最適制御を検討する。 (3)技術の社会実装へ向けた自立型水・エネルギーシステムの検討を継続する。令和2年度は、水再生技術・水循環システム開発グループにおける技術開発および実証の成果をシステムの評価・提案に組み込むための手法構築を行う。具体的には、技術の導入効果をLCAにおいて適切に評価できるよう、評価対象となる環境負荷物質の拡充など、LCAにおける既存のインパクト評価手法の拡張を検討する。
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