研究課題/領域番号 |
18H04154
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
尾崎 研一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50343794)
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研究分担者 |
山浦 悠一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20580947)
佐山 勝彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353711)
明石 信廣 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 研究主幹 (40414239)
雲野 明 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 主査 (20414245)
長坂 晶子 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 研究主幹 (70414266)
長坂 有 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 主査 (80414267)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 保残伐 / 生物多様性 / 人工林 / 長期実験 |
研究実績の概要 |
日本では多くの人工林が主伐期を迎え、自然環境に配慮しながら木材を生産する技術の開発が必要となっている。本研究では生物多様性と木材生産の両立をめざす森林管理技術である保残伐の国内初の長期・大規模実験において生物多様性、水土保全機能、木材生産性に与える保残伐の影響を検証する。そして保残伐の初期の効果を明らかにし、各要因への効果を統合した自然共生型森林管理技術を開発する。 当年度は、生物多様性について、第2、第3セットで鳥類の生息状況をテリトリーマッピング法とポイントカウント法で調べた。その結果、単木保残区では中量保残以上で多くの森林性鳥類が観察されたが、少量保残でも森林性鳥類は保残木をさえずり場所や採食場所として利用していた。昆虫類については、第1セット(伐採4年後)の各実験区にマレーズトラップを設置してカミキリムシ類を採集した。その結果、伐採が行われた実験区における種数と個体数は伐採1年後より減少し、なかでもフトカミキリ亜科とカミキリ亜科の減少が顕著であった。林床植物については、第1、第2セットに設定した方形区の伐採3年後の結果から、各実験区はエゾイチゴやタラノキが優占するタイプとヒメジョオンやヒメムカシヨモギが優占するタイプに分かれ、この違いは伐採前の植生タイプと関連していた。主要な種の出現区画数を比較すると、伐採1年後に減少した種の多くは、その後大きく減少せず伐採3年後にも維持されていた。 水土保全機能については、第3セットの実験区を流れる渓流における夏期平水時の硝酸態窒素濃度を解析した結果、単木少量、中量保残区では伐採2年後においても伐採1年後同様の濃度上昇が見られ、上木伐採による影響が継続していることが示唆された。 木材生産性については、第3セットに植栽木調査プロットを設定し、植栽木の樹高、全天写真撮影、土壌水分計測を行った。また、第2セットで保残木の生存と成長を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画に従って生物多様性、水土保全機能、木材生産性調査を完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
トドマツ人工林における保残伐施業の実証実験に係る協定に基づく協議会とワーキンググループを開催し、本年度の研究の進捗状況を報告するとともに、研究者、森林管理者間での調整を行った。森林管理者から1999年度の事業予定として、下刈り、補植、風倒被害復旧の説明があり、本研究に支障がないことを確認した。 昆虫類については採集された個体数が少なかったが、この原因としては春期の低温などの天候不順と、伐採後の経年変化が考えられる。どちらの要因が重要であるのかは今後の調査で明らかにしていく予定である。
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