研究課題/領域番号 |
18H04156
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
桑江 朝比呂 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (40359229)
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研究分担者 |
渡辺 謙太 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (20725618)
梅澤 有 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50442538)
堀 正和 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), グループ長 (50443370)
所 立樹 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 特別研究員 (70543859)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 二酸化炭素 / 一次生産者 / 植食動物 / 生態系サービス / トップダウン効果 |
研究実績の概要 |
浅海生態系では,水温,栄養塩濃度,光量などの外部環境が海草藻類や植物プランクトンといった一次生産者の現存量や生産速度を決定するとともに(ボトムアップ効果),植食動物による植食(トップダウン効果)にも強く影響を受ける.すなわち,大気-浅海生態系間のCO2ガス交換は,ボトムアップ効果とともに植食者を鍵とする食物網構造によっても決定づけられると考えられる.したがって本研究では,一次生産者の現存量と生産速度に影響を与える因子として植食動物に焦点を当て,現地調査と操作実験により食物網構造とCO2ガス交換過程の関連性を実証する.そして,浅海域における望ましい炭素循環像に迫るため,「炭素のストックとフロー」という共通の過程から食物網構造とCO2ガス交換過程を統一的に理解すること目的とする.
当該年度は,昨年度から続くコロナ禍の影響により,引き続き現地調査の計画を大幅に変更することとなった.非常に限られた現地調査の機会を狙いつつ,成果とりまとめに不可欠な生態系純生産量に影響を与える一次生産や植食者に焦点を当て,炭素,栄養塩といった流入負荷物質や,温度,光環境などを勘案したうえで食物網構造の影響が検討できる砂泥性海草藻場と岩礁性大型海藻場において,現地観測や実験を実施した. 具体的には,複数の海域で通年にわたる植生や炭素動態の実測,グリーンレーザースキャナ搭載の空中ドローンの活用による地形計測ならびに植生密度や高さ計測可能性の検討,植食動物の現地enclosure実験の準備などである.また,過年度と同様,植食動物による植食(トップダウン効果)による,大気-浅海生態系間のCO2ガス交換速度への影響を定量的に検証するため,難分解性物質や忌避物質における生産速度や残存率に関するデータを取得した.
英文誌に論文を8編公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のメインテーマである,植食動物による植食(トップダウン効果)による,大気-浅海生態系間のCO2ガス交換速度への影響を定量的に検証するために必要 なデータを,現地実験によって取得でき,今後,改善しつつさらにデータ取得や解析をすすめていく目処が立ってきたため.
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今後の研究の推進方策 |
生態系純生産量に影響を与える一次生産や植食者に焦点を当て,炭素,栄養塩といった流入負荷物質や,温度,光環境などを勘案したうえで食物網構造の影響が検討できるよう配慮しつつ現地観測や現地実験を実施しつつ,水槽実験の実施について検討する.
被食前後の植生の空間分布とバイオマスの変化を三次元的に捉えるため,現場実測,リモートセンシング,ドローン空撮,GIS解析などの手法を適用する.炭素循環や食物網構造解析のための水底質や生物サンプルを採取し分析するととともに,CO2ガス交換速度に与える影響について解析する.
成果をとりまとめ,論文等を執筆し公表する.
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