研究課題
1 PEG-b-ポリペプチドブロック共重合体の設計: 一般的にポリアミノ酸は1級アミンによるN-カルボキシアミノ酸無水物の開環重合で得られるため、PEGとのブロック共重合体は一級アミン末端PEGを利用して合成されて来た。しかし保護基を有するアミノ酸は、その脱保護で主鎖の切断が起こるなど問題がある。このため二段階法など、モノマー構造にあわせた最適な材料合成法の検討を行った。また、A-B型の共重合体に加えてポリペプチド-b-PEG-b-ポリペプチドタイプのトリブロック共重合体の合成も行った。2 ポリアルギニンベースのナノ粒子によるナノメディシン評価:アルギニンは、低濃度で血管新生、高濃度でアポトーシスを誘発する。ポリアルギニンをベースとしたトリブロック共重合体はポリアニオンと複合させるといわゆるフラワーミセルタイプの粒子が調製でき、これは室温で溶液、生体環境下でゲルになることを確認した。このインジェクタブルゲルを心筋梗塞モデルマウスへ局所投与で形成するゲルから徐々にNOが放出され、血管新生形成を誘引する新治療法への展開をおこなった。実際、マウス心臓冠状動脈結紮モデルを作製し、これらの材料設計と評価を行った。3 ポリオルニチンベースのナノ粒子によるナノメディシン評価: オルニチンはオルニチンサイクルによってアンモニアの解毒を行うため、二日酔いのみならず、肝線維化などの肝障害に効果が期待されるものの、オルニチン単独投与では治療効果を上げるには限界がある。PEG-b-ポリオルニチンナノ粒子を投与し、加水分解することでコントロールドリリースを行う事ができれば慢性肝障害への効果的なナノメディシンとして期待される。本研究ではアセトアミノフェンによる肝障害モデルマウスを作製し、効果を評価した。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究は、様々なアミノ酸ベースのナノメディシンを設計し評価するものであり、初年度様々な合成を中心としたが、さらに心筋梗塞モデルや急性肝障害モデルで著しい効果を確認することができ、大いに進捗している。
前年度の方針を進捗させ、さらに意義のある材料設計を行う。特に近年問題となっているパーキンソン病に対し、L-ドーパ型ナノメディシンを設計し、評価を行っていく。
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