研究課題
パーキンソン病(PD)は、脳内のドーパミン細胞数が減少し、神経伝達物質であるドーパミンが十分に生成されず、筋固縮や振戦といった症状が現れ、年々患者数が増加の一途をたどっている。ドーパミンは血液脳関門(BBB)を通らないため、その前駆体であるL-ドーパがPD治療薬(レボドパ)として用いられている。しかしながらL-ドーパは、半減期が著しく短く、頻回投与が必要となる。治療後期では、原疾患の進行に伴いドーパミン神経細胞のドーパミン保持能がさらに低下するため、その治療域はさらに狭くなり、投与量の調整が困難となり、一日の中で症状の改善と悪化を繰り返すウェアリング・オフ現象や過剰投与によるジスキネジアがみられるようになる。このような問題点の解決を目指し、L-ドーパのプロドラッグ化やナノ粒子を利用しL-ドーパの血中滞留性向上を目指した報告例が試みられているものの、L-ドーパの高い水溶性に加えて、二つの水酸基の高い反応性に伴う扱いにくさにより、十分な効果が得られていない。L-ドーパは大気中で容易に酸化重合を引き起こし、メラニン様の粘性黒色物質を生成することからDDSとしても容易ではない。本研究ではこのようなL-ドーパの欠点を克服し、安全で効果的なパーキンソン病薬の創出を目指し、新しい分子自己組織化に基づく創薬に関する検討を行った。すなわち、新たに設計した親-疎水性ブロック共重合体ポリエチレングリコール-b-ポリ(L-ドーパ(ジアセチル)) (PEG-b-PDOPA(diacetyl)の自己組織化によるナノ組織体がL-ドーパのバイオアベイラビリティーを向上するとともに過剰濃度を抑えるため、ディスキニジアを抑制し、高い治療効果を示すことを確認した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Controlled Release, accepted
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