本研究の目的は、実施者が最近成功したオプトメカニクスを利用したラジオ波の光変換実験を、磁気共鳴画像診断(Magnetic Resonance Imaging: MRI)に適用することにあった。そのために、従来の手法によるMRI撮像を行うことができる環境を整える作業から着手した。内径70mm・磁場値7テスラの超電導電磁石を用いて300MHz帯域でMRI信号を取得するために、300MHz帯域共振回路の設計と製作・傾斜磁場コイルの設計と製作・傾斜磁場電流駆動回路の開発・MRI実験送受信機の製作した。開発した装置と、従来の手法を用いて、ファントム・標本・果実を対象とするMRI撮像を行うことに成功した。 その後、オプトメカニクスによるラジオ周波数信号の光変換とMRIを融合へと導くための、小型薄膜モジュール、とくにキャパシタモジュールの開発に注力した。モジュールは、超電導電磁石の中で動作させることを想定しているために、てのひらサイズの小型のものを開発する必要があった。そこで、超小型真空チャンバーの設計と製作を行った。また、薄膜に金属を蒸着し、キャパシタの対向電極として用いる基盤もチャンバーに収納できるように、一から設計を見直した。また、電気的損失を極力低減するためにチャンバー内部の電気的配線を最短にすることを目指して、新規に超小型ハーメチックコンタクトプローブを試行錯誤を繰り返しながら開発した。これらの部品を組み立てて、薄膜キャパシタモジュールを完成させ、性能評価を行った。さらに光共振器を組み込んで、超小型ラジオ波-光変換器を完成させた。このモジュールを用いて、ラジオ波信号を光に変換する実験、さらに超電導電磁石を用いた核磁気共鳴実験の信号取得に成功した。
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