研究実績の概要 |
1)嚥下時頭蓋内脳波の計測・解析:咽頭期に中心下野が特異的に活動し、随意嚥下の中枢が中心下野であることを、頭蓋内脳波解析により明らかにした論文がアクセプトされた(Hashimoto et al, Ann Clin Transl Neurol, in press)。嚥下運動の脳信号解読のため、同期記録した頭蓋内脳波データと非侵 襲マルチモーダル嚥下運動計測データから、嚥下運動5相(先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期)を各相別に分類抽出した。 2)嚥下運動の脳信号解読:AlexNETを用いた転移学習により、頭蓋内脳波から嚥下運動の5相を解読し、70-90%と高い解読精度を得た。特に飲込みに重要な咽頭期を 脳信号から推定できた。この成果を論文として出版した(Hashimoto et al, Int J Neural Syst, 2020) 3)脳磁図を用いた嚥下時の脳機能計測・解析: 健常者を対象として、嚥下時、手把握時の脳磁界を計測・比較することにより、嚥下時に前頭葉外側部が活動することを明らかにした。さらに頭蓋内脳波による先行研究で明らかにした中心下野の高周波活動を前頭葉外側部で検出することができた。今後、さらに症例数を増やし、随意嚥下に関わる大脳領野を詳細に明らかにする。 4)嚥下動態シミュレーションシステムを用いた嚥下BMIの開発: 2)で開発した頭蓋内脳波を用いた嚥下時の脳信号解読システムを、分担研究者の道脇らが開発した嚥下動態シミュレーションシステムSwallowVisionに接続し、脳信号で嚥下運動を制御する嚥下BMIのシミュレーションを行った。その結果、嚥下時の頭蓋内脳波から咽頭期を同定して、嚥下運動をSwallowVisin上で実現でき、シミュレーションにて嚥下BMIが実現できることを明らかにした。
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