研究課題/領域番号 |
18H05204
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 浩 東京大学, 特別教授室, 特別教授 (40272504)
|
研究分担者 |
白波瀬 佐和子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00361303) [辞退]
佐藤 香 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (10313355)
三輪 哲 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20401268)
有田 伸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30345061)
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
石田 賢示 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60734647)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-23 – 2025-03-31
|
キーワード | 格差 / 不平等 / ライフコース / パネル調査 / 計量分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、若年・壮年・中高年者を対象にしたパネル(追跡)調査を継続し、若年から壮年さらには中高年期にいたるライフコースの過程において格差・不平等がどのように連鎖・蓄積していくのかを解明することにある。2020年度は以下の4つの調査を実施した。(1)2007年に20-34歳の若年者と35-40歳の壮年者(継続サンプル)を対象者として「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」を毎年継続して実施しており、2011年には同年齢の若年・壮年者(追加サンプル)を対象者として新たに抽出し、追跡して調査している。2021年1-3月には、継続サンプルのWave15、追加サンプルのWave11に当たる調査を実施した。(2) 2019年に20-31歳の若年者(若年リフレッシュサンプル)の対するWave 1の調査を実施し、2021年1-3月にはWave3調査を実施した。(3)高卒パネル調査は、2004年3月に高校を卒業した生徒を追跡している調査で、2020年10月-2021年1月にかけてWave17の調査を実施した。(4)2020年8-11月には、継続サンプル・追加サンプル・若年リフレッシュサンプルの対象者に対して、新型コロナウイルス感染症の影響を調べるべく「コロナ特別ウェブ調査」を 実施した。 研究成果としては、日本社会学会、数理社会学会、家族社会学会などでメンバーが報告を行い、国内外の雑誌に投稿、著書を刊行している。速報性の重視した分析結果は、『東大社研パネル調査ディスカッションペーパーシリーズ』として2020年度には16本の論文を刊行した。2021年2月19日には、東大社研パネル調査コンファレンスをオンラインで開催し、研究成果を広く公開した。台湾の研究グループとの共同研究を進め、2021年3月30日にはオンラインで国際ワークショップを開催した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査の企画・実施に関しては、当初の予定通り2020年度には複数のパネル調査を企画・実施することができた。「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」については、若年・壮年パネルの継続サンプルWave15、追加サンプルWave11に当たる調査を、若年リフレッシュサンプルについてはWave3に当たる調査を実施した。高卒パネル調査については、Wave17に当たる調査を実施した。さらに当初の予定にはなかったが、新型コロナウイルス感染症が調査対象者に与える影響を調べるために、ウェッブによる「コロナ特別調査」を2020年8月から11月にかけて実施し、2020年4月から発令された緊急事態宣言下と2020年秋の時点の対象者の不安要因、社会的孤立状況などについて明らかにした。 研究成果の発信については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、多くの学会やコンファレンスが中止となった。特に海外での学会への参加が困難となったが、オンラインで開催された第93回日本社会学会大会では、「東大社研パネル調査(JLPS)データの分析」として6名のメンバーがひとつのセッションを組んで共同報告した。日本家族社会学会・日本数理社会学会の大会においても複数のメンバーがオンライン報告を行った。 速報性の重視した分析結果は、『東大社研パネル調査ディスカッションペーパーシリーズ』としてウェッブ上でダウンロード可能な形で2020年度には16本の論文を刊行した。プロジェクトのメンバーは、それぞれの専門分野の研究に東大社研パネル調査を活用し、複数の著書を刊行している。2021年2月18日には、東京大学広報からプレスリリースを公表し、その翌日に東大社研パネル調査コンファレンスをオンラインで開催し、研究成果を広く公開した。国際共同研究に一環として2021年3月には台湾グループとオンラインで国際ワークショップを開催した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の調査・研究の方針については、引き続き複数のパネル調査を企画・実施していく計画である。2007年に20-34歳の若年者と35-40歳の壮年者を対象者とした「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」(継続サンプルと追加サンプル)については、2022年1-3月には、継続サンプルのWave16、追加サンプルのWave12に当たる調査の実施を予定している。2018年度に開始した2019年1月に20-31歳の若年者を追跡する「若年リフレッシュサンプル」については、2022年1-3月にWave4の追跡調査を実施予定である。高卒パネル調査については、2021年10月にWave18の調査の実施を予定している。2010年に日本全国の50-84歳の男女を対象とした中高年パネル調査を実施し、1年おきに対象者を追跡しており、2021年度に第7波の調査を予定している。 2020年度に実施した「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」については、データクリーニング・コーディングの作業を行いメンバーに調査データを配布すると同時に、過去の調査をデータアーカイブへ寄託する作業を行う。 調査データの分析に関わる研究会は、今後も定期的に継続して開催し、研究会プロジェクトメンバーの内部で議論を活性化していく。国内外の学会では、引き続き研究プロジェクトメンバーが積極的に報告を行っていく予定である。「東大社研パネル調査プロジェクトディスカッションペーパーシリーズ」(DP)を活用し、速報性を重視した研究成果も発信していく。毎年2月頃にプレスリリースとしてパネル調査で明らかになった知見をメディアに向けて広報し、「東大社研パネルシンポジウム」を一般に向けて開催する。2021年度もオンライン形式で企画していく。台湾・韓国の研究チームとの国際共同研究についても、継続してコンファレンス等を開催する予定にしている。
|