研究課題
①推移的推論課題を行ったマウス大脳皮質前頭前野の神経細胞の集団活動を詳細に解析した。学習後のノンレム睡眠中に、学習した情報を統合し全体の階層性を構築していることが明らかになった。さらに、引き続くレム睡眠中に全体の階層性から未経験の情報を新たに推測して解答を引き出していることを見出し、ノンレムとレム睡眠の機能分担を明らかにした。②睡眠中にエングラム細胞は特定のノンエングラム細胞と共活動し、将来のエングラム細胞候補を選定していることを示した。③脳のネガティブ状態を表す神経細胞群が、ネガティブ体験の記憶に正の影響を与えるメカニズムが、睡眠中の共活動であることを発見した。④確率的経験を自発発火中のリプレイに依って表現するために必要な学習ルールを機械学習的考察により提案した。このルールを実装した回路モデルを構築し、自発発火状態が経験の事前分布を学習できるための条件を、数値シミュレーション等により詰めた。さらに機械学習から得た学習ルールを、生物学的メカニズムに依って実現する、単一神経細胞モデルを構築した。⑤呼吸を操作したマウスの行動変容および自発的な呼吸操作そのものがどのような神経回路によって行われているかを明らかにするため、脳と腹腔内の臓器を繋ぐ神経系である迷走神経を染色し、迷走神経が脳のどの部位に繋がっているかを解析した。⑥特別推進研究の5年間の成果をまとめると、(1)推移的推論・論理的選択・類似性抽出など多くの情報処理過程において、睡眠時の特定のニューロン活動が重要であること、(2)忘却した記憶でもサイレントエングラムとして記憶痕跡は潜在意識下に残っており、その後の類似体験の記憶に影響を与えること、を発見し、アイドリング脳が従来考えられていた以上に多様で重要な機能を担っていることを明らかにし、アイドリング脳研究という新しい学術分野を切り拓いた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 6件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (60件) (うち国際学会 22件、 招待講演 11件) 備考 (1件)
Molecular Brain
巻: 16 ページ: -
10.1186/s13041-023-01004-2
Neuroscience Research
巻: 189 ページ: 60~65
10.1016/j.neures.2022.12.018
巻: 189 ページ: 75-82
10.1016/j.neures.2022.12.024
iScience
巻: 26 ページ: 106229~106229
10.1016/j.isci.2023.106229
Nature Communications
巻: 13 ページ: -
10.1038/s41467-022-35119-2
Biology Open
巻: 11 ページ: -
10.1242/bio.059666
Communications Biology
巻: 5 ページ: -
10.1038/s42003-022-04167-1
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 119 ページ: -
10.1073/pnas.2201578119
Neuron
巻: 110 ページ: 3227~3229
10.1016/j.neuron.2022.09.014
Chaos: An Interdisciplinary Journal of Nonlinear Science
巻: 32(8):083125 ページ: 1-8
10.1063/5.0096284
PLOS Computational Biology
巻: 18(6): e1010214 ページ: 1-25
10.1371/journal.pcbi.1010214
eneuro
巻: 9 (3) ページ: 1-14
10.1523/ENEURO.0023-22.2022
Frontiers in Neuroscience
巻: 16 ページ: 1-18
10.3389/fnins.2022.855753
Biochemical Journal
巻: 479 ページ: 1127~1145
10.1042/BCJ20220033
Neuropsychopharmacology
巻: 47 ページ: 2150~2159
10.1038/s41386-022-01347-9
Journal of Neurochemistry
巻: 161 ページ: 129~145
10.1111/jnc.15600
http://www.med.u-toyama.ac.jp/bmb/research/latest/JMostafa2022.pdf