研究実績の概要 |
トモエゴゼンカメラは完成し、毎夜7000平方度を掃天の後2000平方度以上を30分おきに観測、最後に再度掃天する観測を実施しており、データ解析パイプラインの性能向上(参照画像の作成を含む)に努めている。せいめい望遠鏡用の3バンド同時撮像カメラTriCCSは、gバンドでの試験観測を数回実施の後2020年2月に3バンド同時の観測に成功、全国共同利用にも提供していくこととなった。近赤外線分光器NICEは、高地対応のための対応を終え、新型コロナによって遅れているTAO望遠鏡の完成を待っている。 観測研究においては、せいめい望遠鏡において約50晩の観測時間が採択され、Tomo-eにおいて爆発直後の増光がとらえられた二つの超新星をはじめ、複数のIa型超新星を観測、データ解析中である。Ia型超新星の高精度標準光源化にむけて可視光での色と明るさのばらつきを調べ、膨張速度の速い高速Ia型超新星には一部赤く暗いものが存在し、それらを除くと色のばらつきの大部分は星間塵の減光で説明できることを発表した(Arima, Doi, et al. 2020)。高速Ia型超新星についてこれまでで最初期の分光データを取得、そのスペクトル計算による解析を通し、最外層まで爆発的原子核反応が広がっていることを発見した(Kawabata, Maeda et al., ApJ, 2021)。 理論研究においては、Ia型超新星に至る連星進化において最大の未解明問題とされる共通外層期について、大規模な三次元直接計算を行った(Iaconi, Maeda et al. 2020)。白色矮星と通常の星からなる系(降着シナリオ)において、降着に伴う白色矮星の進化と外層における原子核反応計算を推進し、これが高速超新星の一部の起源となる可能性を提示した(Wu et al.,2020)。その他にも関連する観測・理論研究を実施した。
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