研究課題/領域番号 |
18H05235
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
四日市 悟 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 専任研究員 (20360670)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-11 – 2023-03-31
|
キーワード | 実験核物理 / 放射線検出器 / GEM / 電子検出器 / 量子色力学 |
研究実績の概要 |
2019年度にJ-PARC ハドロン実験施設 高運動量ビームラインに建設した電子陽電子対測定用スペクトロメータについて、2020年度のJ-PARC加速器故障によりもちこしとなった試運転ビームタイムを2021年6月に遂行した。そのデータを用いて、電子検出器および飛跡検出器の効率やトリガーシステムおよびデータ収集効率の評価が進行中である。電子検出器の予備的な結果は国際会議VCI2022などで発表したが、計画時の設計性能をみたしている。 2021年2月の試運転では100msオーダーのビームの時間構造の対策が行われ、改善がみられていたところ、2021年6月のビームタイムで新規導入したストリーミングタイプのTDCにより、新たなビームの微細時間構造(5.2 μs周期および5ms周期)が発見され、データ収集効率低下の原因となっていることが判明した。J-PARC加速器SXグループおよびハドロンビームライングループとの協力によりビーム側の対策が考案され、2022年度後半のビームタイムでテストされる予定である。また、実験グループとしても、データ収集方式の改良を行って、データ収集効率の改善をはかる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試運転は施設の都合で申請時点の計画より1年ほど遅れで終了した。2022年度の物理データ取得へむけて、2021年11月にはLG(鉛ガラスカロリメータ)の残り2モジュールの設置が完了するなど、検出器モジュールの増備、また、データ収集ソフトウェアの改良や整備もすすんでいる。半導体危機による回路部品の納期延長、価格上昇は 読出回路増備スケジュールに影響しているが、みこんでおいた余裕により、致命的影響はない。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年7月のJ-PARC PACで2022年度における物理データ蓄積ビームタイムを申請し、試運転性能での技術評価を受ける。仮にビームの微細時間構造が解消しなくても、データ収集システムの改良により、1.3倍程度のビームタイム延長があれば、計画している統計は蓄積できる。2022年度には物理データ取得を開始する。
|