研究課題/領域番号 |
18H05239
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市村 強 東京大学, 地震研究所, 教授 (20333833)
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研究分担者 |
堀 高峰 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), センター長 (00359176)
藤田 航平 東京大学, 地震研究所, 准教授 (00744856)
Maddegedar a.L. 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20426290)
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研究期間 (年度) |
2018-06-11 – 2023-03-31
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キーワード | ヘテロコンピューティング / 地震シミュレーション / 波動解析 / 地殻変動解析 |
研究実績の概要 |
本研究課題の全期間での具体的な実施計画は,市村グループでは,ヘテロコンピューティング及び大規模有限要素法に基づく高詳細3次元不均質地殻構造モデルでの地震動・地殻変動の超高速計算技術を駆使した最適化手法の開発・この手法に適した解析基盤の導入・アルゴリズム実装と実問題への適用による有効性確認を行う.堀グループでは,海陸で観測される地殻変動データと,すべりの時空間変化のモデルを整合させる手法の改善を行う.今年度は,昨年度から開発を進めている「超大規模・超高速有限要素モデル構築・解析手法の開発」及び「地殻構造等改良のための最適化手法の開発」の成果を実装したGPU-based PC Clusterを用いて,堀グループで必要となる波動場・地殻変動解析やこれらの解析を多数回用いる逆解析・データ同化などで必要となる手法の開発を継続するとともに,順解析と最適化の応用の一つとして,高詳細地殻モデルでの地殻変動解析を用いた観測データとシミュレーション結果を整合させるデータ同化手法の開発も行った.特に,シミュレーション内で生成されるデータを逐次学習しながら,シミュレーションを高速化可能な汎用的な手法を創出し,その有効性を検証出来たことから,今後の展開が期待される.さらに,地震予報のプロトタイプの対象領域である南海トラフに対して,国の長周期地震動評価に用いられる詳細3次元地殻モデルを構築して,「震源状態推定」のための地震時のすべり分布に対する地殻変動データからの同化の試行を行った.具体的には,地殻構造の曖昧さが地震時すべりの「震源状態推定」に与える影響を定量的に検討した.その結果,堆積層や下部地殻,マントルについては有意な影響は見られなかったが,地震時すべりが最も卓越する部分に接する上部地殻が正しい物性でない場合については,地震時のすべりが逆向きになるという有意な影響があることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題の目的を実現する上で,カギとなっている解析能力の向上について,equation-based modelingとdata-science approachの融合により,当初想定以上の成果が得られた.equation-based modeling内で得られた解析結果を逐次的にdata-science approachにより分析・学習し,equation-based modelingの性能を向上することは,equation-based modelingとdata-science approachの性質が異なるから,従来は難しいとされている.本課題では,高次と低次項を分けた適切な学習方法を創出することで,equation-based modelingの性能向上を実現することに成功しており,本課題の進捗をさらに加速することが期待される.以上から,当初の計画以上に進展している状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展していることから,研究計画・方法の変更はなく,予定通り進めていくことを考えている.
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