研究課題
令和4年度(2022年度)は、前年度に引き続いて以下の二項目についての研究を推進した。(1)Ti:sapphireレーザーで励起された高強度赤外光源を用いた軟X線分光:原子・分子をターゲットとした強レーザー場中でのトンネルイオン化と再散乱に関する光電子計測を進め、光電子スペクトルのカットオフ近傍の普遍的な振る舞いから光電子波束の多中心多重散乱効果に関する知見を得た。軟X線過渡吸収分光に関しては、実験対象を気相分子から液体・溶液系へ展開するために、水薄膜ジェットを導入した軟X線分光ビームラインを開発した。水薄膜ジェットにおける高次高調波発生の機構解明のために、中赤外域(波長3.2μm)での高エネルギー光パラメトリック光源を開発し、パルスエネルギー370μJ、パルス幅160fsの高強度中赤外パルス発生に成功した。軟X線ビームラインに関しては、軟X線パルスを貴ガス原子に集光して光電子計測を行った結果、内殻励起に伴うカスケード的なオージェ過程の観測に成功した。また、物性研究者との協力の下で、極端紫外域の高調波フェムト秒パルスを用いた固体の時間・角度分解光電子分光を進め、グラファイトやトポロジカル絶縁体などを対象とした実験を行い、光励起に伴う電子ダイナミクスの観測に成功した。(2)Yb固体レーザーで励起された高繰り返し極短パルス光源の開発と利用研究の推進:Yb固体レーザーを励起源とした光パラメトリック増幅器の開発を進めた結果、繰り返し100 kHz、中心波長2200 nmにおいて時間幅16.4 fs(電場振動の2.3周期に相当)できわめて位相安定な極短パルス発生に成功した。また、Ybレーザーの五倍波によるフェムト秒パルス光源(光子エネルギー6 eV)を用いた固体の時間分解光電子分光を行い、Si表面における光起電力効果の発生と緩和過程における電子ダイナミクスの観測に成功した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 5件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 18件、 招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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