研究実績の概要 |
1.異形なのに相溶する分子によるカラムナー液晶相(Yanoetal. Science 2019, 363, 161; Yano et al. JACS 2019, 141, 10033.) モノマーが非共有結合により1次元に集合化した超分子ポリマーの機能性ソフトマテリアルとしての利用が期待されているが、バルク状態での研究はほとんど行われてこなかった。対して、我々は液晶を媒体とした超分子重合において、「超分子ポリマーが液晶と 一体となり、カラムナー相を形成する」新現象を見出した。 2.自己修復能を有する多孔性結晶の開発(Yamagishi et al. Science 2019, 361, 1242.) 6つのピリジル基を導入した分子を、溶液から再結晶したところ、多孔質結晶が得られた。耐熱性と自己修復性という一般に相容れない特性の両立に成功した。 3.層数選択的な剥離可能な2次元MOF結晶(Auetal.JACS2019,141,53.) 『2次元バルク材料から層数選択的に剥離させることは可能か?』という2次元材料が抱える界面に関する学術的問いに取り組んだ。新たに開発した多孔性材料は、多孔質ナノシートが積層したMOFであり、浸漬させる溶媒に応じて2段階での層間拡張現象がを示すことを明らかにした。これは段階的層間拡張現象 を結晶構造解析によって解明した世界初の例である。 4.ナノグラフェンからなるアダプティブMOF(Suginomeetal.JACS2019,141,15649.) 「ナノグラフェンに囲まれた空間はどのような機能を発現するのか?」この基礎科学的な疑問から、MOFを足場としたナノグラフェン表面を有する多孔性材料:ナノグラフェンMOFの合成に挑んだ。ナノグラフェンMOFは取り込むゲスト分子へ適応して穴の形状・サイズを変化させるという興味深い現象を見出した。
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