研究課題
免疫システムには、活性化免疫受容体と抑制化免疫受容体から成る一連のペア型免疫受容体ファミリーが存在する。我々は、これら一連のペア型免疫受容体ファミリーがウイルスと共に共進化してきた免疫受容体であるという独自の仮説を立てて、多くのペア型免疫受容体の機能を解明してきた。さらにウイルス感染ばかりでなく、細菌感染やマラリア感染にも重要な機能を担っていることが明らかにしてきた。しかし、依然として多くのペア型免疫受容体の宿主リガンド分子、病原体リガンド分子やその機能が不明である。また、免疫システムがなぜ、多数のペア型免疫受容体ファミリーを獲得したかも不明である。一方、多くのペア型免疫受容体遺伝子には個人間や系統間で配列やコピー数に違いが認められ、それらが感染抵抗性やさらには免疫疾患の発症に関与する可能性も示唆されている。そこで、本研究ではこれらの研究成果を基盤にして、ペア型免疫受容体ファミリーを介した宿主病原体相互作用の全貌解明を目指すと共に、ペア型免疫受容体が免疫システムの恒常性維持にどのように関与しているかを解明する。特に、本研究は、免疫応答の制御分子である抑制化ペア型免疫受容体をどのような病原体が免疫逃避に利用しているか、さらに、生体防御における活性化ペア型免疫受容体の機能の解明を目的とした。その結果、持続感染するウイルスや細菌を解析することにより、新たなペア型受容体のリガンド分子が発現していることが明らかになってきた。従って、今後、これらのリガンド分子を同定することにより、感染症を制御に関与している新たな宿主病原体相互作用が明らかになると期待される。
2: おおむね順調に進展している
我々は、一連のペア型免疫受容体ファミリーがウイルスと共に共進化してきた免疫受容体であるという独自の仮説を立てて、多くのペア型免疫受容体の機能を解明してきた。その結果、持続感染するウイルスや細菌を解析することにより、新たなペア型受容体のリガンド分子が発現していることが明らかになってきた。今後、これらの病原体リガンド分子を解明することにより、感染症を制御に関与している新たな宿主病原体相互作用が明らかになることが期待される。
本研究によって持続感染するウイルスや細菌を解析することにより、新たなペア型受容体のリガンド分子が発現していることが明らかになってきた。従って、今後、これらのリガンド分子を同定することにより、感染症を制御に関与している新たな宿主病原体相互作用が明らかにする予定である。また、熱帯熱マラリア原虫の多重遺伝子、RIFINの解析も進めることにより、全く新たな宿主病原体相互作用を明らかにするとともに、ペア型受容体の多様性がどのように作られたかを明らかにする予定である。特に、活性化受容体の機能についても解析を進める予定である。
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