生殖細胞変異は、遺伝的多様性と種の進化の根底をなすものである。これまでの研究では、主に集団と家系の遺伝子マーカーとレポーター遺伝子を分析することにより、生殖細胞の理論的な突然変異率とスペクトルが評価されていた。そこで今回我々は、マウスの培養精子幹細胞、すなわち生殖細胞系列幹(GS)細胞と、GS細胞から自発的に脱分化した多能性GS(mGS)細胞に長期培養が及ぼす影響を全ゲノム配列決定により直接測定を行なった。 GS細胞は、精細管への移植によって子孫を生成できる機能的な精子を生成するが、mGS細胞は、胚性幹細胞と同様の方法で胚盤胞へのマイクロインジェクションによって生殖細胞系列キメラに寄与する。 GS細胞とmGS細胞の推定変異率は、細胞集団が2倍になるごとに塩基あたりそれぞれ約0.22×10-9と1.0×10-9であり、GS細胞はmGS細胞と比較して変異率が低いことが明らかになった。 GS細胞とmGS細胞も明確な変異パターンを示し、GS細胞ではCからTへの移行が最も頻繁に見られ、mGS細胞ではCからAへの移行が最も優勢出会った。核型分析によると、GS細胞は染色体15および16の再発トリソミーを示しましたが、mGS細胞は染色体1、6、8、および11の増幅を頻繁に示し、異なる染色体異常が試験管内で各細胞タイプに選択的な増殖の利点を与えることを示唆する。これらのデータは、生殖細胞変異を研究するための基礎と、生殖技術および臨床応用のためのGS細胞の将来の利用のための基礎を提供する。
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