研究課題
変形性関節症で最も多いのは変形性膝関節症で、国内で少なくとも2530万人が罹患している。力学的負荷の繰り返しと蓄積により、関節軟骨の変性・破壊、それに続く変化としての関節辺縁や軟骨下骨の増殖性変化が起こる疾患である。我々はRunx2を中心とした骨と軟骨の形成・維持の分子機構の全容解明とその臨床応用を進めている。これまでに、Runx2が間葉系幹細胞より骨芽細胞分化に必須であること、Runx2が軟骨細胞の後期分化(成熟)に必須であること、Runx2は、関節軟骨等の永久軟骨の性格を失わせ、永久軟骨細胞を成熟させ軟骨基質を破壊するmatrix metalloproteinase 13 (MMP13)等を誘導する働きがあり、関節軟骨細胞の破壊によって発症する変形性関節症の原因遺伝子の一つであることを明らかにした。したがって、Runx2は成人において、骨に対しては正の作用、関節軟骨に対しては負の作用を持つ。Runx2の骨芽細胞、軟骨細胞における発現調節機構の解明は、骨格形成・維持の分子機構の解明に画期的な進歩をもたらすと同時に、Runx2発現を骨芽細胞・軟骨細胞で個別に調節できれば、骨芽細胞での発現誘導により骨形成を増加させる骨粗鬆症治療薬、軟骨細胞での発現抑制により変形性関節症治療薬の開発が可能になる。軟骨細胞でのRunx2発現制御機構を明らかにするために、Runx2ゲノム領域から、レポーターマウスで、軟骨細胞特異的な発現を誘導するエンハンサー領域を5箇所同定した。さらに欠失によりRunx2ノックアウトマウスに近い表現型を示す領域も特定した。軟骨細胞特異的エンハンサーの1つを用いて化合物スクリーニングを行い、Runx2発現を軟骨細胞で抑制する4化合物を得た。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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