現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
造血幹細胞研究において、自己複製と分化がどのように選択されているかは、中心課題である。我々は、「マウス胎児肝臓造血幹細胞はもっぱら自己複製過程をする」という仮説のもとに研究を進めた。胎生8-9日に、背側大動脈のhemogenic endothelial cellから造血細胞が出現する(Takakura N, Immunity, 1998)。 我々の研究により、マウス胎児では、造血性血管内皮細胞(EHC)から造血幹細胞の出現とほぼ同時期に、赤芽球骨髄球前駆細胞(EMP; Erythro-Myeloid Progenitor)が検出されることが明らかとなっている。 今回、造血幹細胞とEMP、これら2つの細胞系譜は分離され、胎児肝においては、HSCは、もっぱら自己複製をし、分化には寄与しない、一方、成熟細胞は、前駆細胞から供給されるということを、造血幹細胞特異的に発現する遺伝子Hepatic Leukemic Factor, Hlfレポーターマウス(Hlf-tdTomatoマウス)を作製して明らかにした。また、この幹細胞の自己複製は、Evi-1転写因子の発現量に比利することを明らかにした。 これらのデータは、幹細胞の自己複製に関するきわめて重要な所見・コンセプトで、Nature 誌に投稿され、Minor reviseが終わり、Acceptを待っている段階である。 Yokomizo T, Ideue, T, Sato T, Takeda N,Kurokawa M, Komatsu N, Araki, K, Osato M, Suda T: Tracing the origin of hierarchical hematopoietic structure in fetal liver. Nature in minor revise.
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