研究実績の概要 |
細胞における環境中親電子物質の複合曝露:Keap1/Nrf2シグナル 1,2-NQ、1,4-NQ、および(E)-2-アルケナール類曝露によるHepG2細胞の細胞毒性(LC50値)は、単独曝露より複合曝露の方が有意に低かった。ヘキセナールによるGSHおよびセンサータンパク質Keap1のチオール基消費量に関するEC50値は、その単独曝露より1,2-NQおよび1,4-NQとの複合曝露の方が有意に低下した(GSHに対して相加効果、Keap1に対して相乗効果)。また、ヘキセナールによる転写因子Nrf2活性化およびその下流遺伝子群の発現誘導は、単独曝露より1,2-NQおよび1,4-NQとの複合曝露の方が有意に低下した(相加効果)。さらに、HepG2細胞におけるヘキセナールの細胞毒性は、単独曝露より1,2-NQおよび1,4-NQとの複合曝露の方が有意に低下した(相乗効果)。 環境中親電子物質のイオウ付加体の生体内運命: 活性イオウ分子によりMeHgから生じた (MeHg)2Sは、生理的pHにおいて徐々に分解され、揮発性の高い物質に変換されることが示唆された。反応液の気相および水相を濃縮分離してGC-MSおよびX線回折した結果、(MeHg)2Sはそれぞれジメチル水銀(DMeHg)および硫化水銀(HgS)に変換されることが示された。また、マウスを(MeHg)2Sに腹腔内投すると、呼気中からDMeHgが排泄されることを見出した。これは哺乳類において、MeHgが生体内で(MeHg)2Sを中間代謝物としてDMeHgに変換される初めての報告である。 システインパースルフィド/シスチンアンチポーターの同定: SLC7A11 のノックアウト(遺伝子欠損)およびノックアウト/ノックイン(高発現)HepG2細胞株を樹立した。
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