今年度はまず飛行プラットフォームの自律飛行を可能にする自己状態推定手法の確立に取り組んできた.まず,自己状態推定に必要なセンサの選定を行い,IMU+GPS+ステレオカメラのビジュアルオドメトリという統合的なセンサユニットを確立した.このユニットに対して,異種センサのタイムスタンプを同期するカルマンフィルタを実装し,屋内外での自己状態推定の検証を行った.さらに,本研究の目標である推力装置搭載のヒューマノイドの土台となる多リンク系飛行ロボットを用いて高精度な自己位置・速度の推定を確認し,さらには屋外での自律飛行を実現した.これにより,小型ヒューマノイドの自律飛行が可能になると考えられる. 次に,安定な空間移動・空中マニピュレーシを保証する小型ヒューマノイドへの推力装置の搭載方法について検討を行った.ヒューマノイドの両脚部の付け根にダクテッドファン型の推力装置を取り付けることを基本指針として,CADレベルでのモデル構成を行い、全身の運動学についての分析を行った.さらに,ヒューマノイド脚部の関節運動を制御入力とみなす力学モデルの定式化を試み,今までの研究成果を参考に2個の推力装置に関する推力の大きさと向きを同時に操作する制御システムの雛形を設計した.最終的にはシミュレーション環境での仮想モデルの飛行動作の評価を行った.以上により,実機実装に必要な構成要素と飛行安定性に必要な制御システムの構築に関する重要な知見が得られた.
|