現在国内の地方都市で進められているコンパクトシティ政策を実現するためには、集約拠点となる公共交通の結節点を中心とする区域を、車中心の設計思想で整備された都市空間から、住民自らが移り住みたい、住み続けたい、と感じる魅力的な生活空間へと、更新していく取り組みが不可欠である。このため実務レベルにおいて、歩行者関連施策の体系的な立案プロセスの有用性、必要性が実証的に示されることにより、歩行者中心の街路空間の実現に向けた取り組みが普及していくことが求められている。 そこで本研究は、コンパクトシティ政策を先導的に推進してきた富山市の集約拠点周辺エリアにおいて、歩行者関連施策が実施される前後の機会を捉え、研究レベルで提案された体系的な施策立案プロセスを事業前(研究初年度)および事業後(翌年度)に適用することにより、当該立案プロセスの実務レベルでの有用性を実証しようとするものである。 初年度は、10月に交付を受けたことから、秋の休日晴天の午後に、富山駅周辺を対象とする歩行者実態調査を実施し、結果をGIS上にプロットし、街路区間単位での分析に必要なデータとして整備するところまでを実施した。また、先進事例調査として、富山市と同じくOECDコンパクトシティに選定されており市中心部を対象に歩行者実態調査を経年的に実施しているMelbourneの市役所担当者を訪問し、歩行者関連施策に関する実態調査の内容、分析方法、具体的なWalking PlanやStreet Managementに関する施策の立案プロセスや実施体制等の状況についてヒアリングを行った。
本研究は、当初計画では次年度まで継続する研究課題であったが、これを発展させる形での若手研究の採択を受けたことから、半年間の研究成果は若手研究に引き継いで研究を展開していく。
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