研究成果の概要 |
磁気ランダムアクセスメモリの低消費電力化を実現するために, 磁気特性に対する巨大電圧効果を得ることが重要である. 電圧効果を増大する方法のひとつとして大電圧の利用が考えられる. 本研究では高耐電圧が期待できるコランダム酸化物を障壁層に用いて磁気トンネル接合を作製し, 高電圧を印加した時の輸送特性を調べた. コランダム構造を有するCr2O3は室温で成膜した場合でも(001)方位に配向して結晶成長し, プラズマ酸化を施すことで5 MV/cm程度の耐電圧が得られた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
室温で成膜した場合においてもCr2O3が(001)配向することを見出し, 3回対称軸方向に配向した磁気トンネル接合の作製について端緒を開いた. これにより立方晶系(001)配向以外の対称性を有する材料に対して可能性が開け, 材料選択の幅が拡がると考えられる. また,電気磁気効果を示す反強磁性体であるCr2O3を障壁層に用いることで磁気トンネル接合に新奇な機能を付与できる可能性がある.
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