ヒト骨髄および脂肪由来間葉系幹細胞より調製したRNAサンプルを用いてR-spondin1、2、3、4の発現解析(RT-PCR)を実施した結果、いずれのR-spondinについても検出限界以下であった。すなわちヒト人工染色体を用いてR-spondinを導入発現することにより、間葉系幹細胞に組織再生能を付与することの意義があらためて確認された。間葉系幹細胞における強力なプロモーターを検索するため、ヒト間葉系幹細胞を不死化したhiMSC株を入手し、ヒト21番染色体由来人工染色体(21HAC)を保持するCHO細胞からミクロセル融合法により21HACを導入する実験に着手した。さらに現在までに4種(CAG、EF1A、UbC、PGK)の候補プロモーターのクローニングを実施中である。なお本研究の研究期間は2年であったが、新たに平成31年度科研費基盤研究(B)採択のため平成30年度終了となった。よって目標であるR-spondinを発現するiPS細胞由来MSCの造成という最終目標の達成には至っていないが、1年経過時点としては、概ね順調な進捗である。
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