多能性幹細胞から骨芽細胞系細胞へ分化誘導される過程において、発現上昇を示す長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)の探索を行った。マイクロアレイ解析の結果から、Hox遺伝子群の一部の発現傾向とそれらの遺伝子座に位置するヒトとマウスの種間で保存されている特定のlncRNAの発現傾向に着目し、同定を進め候補分子の抽出を試みた。数種類の候補分子が特定されたが、骨芽細胞分化との明らかな関わりを見出すまでには至らなかった。 ノンコーディングRNAは、概してマウスよりヒトでの解析と同定が先んじて進められていることはデータベースの検討から明らかであった。種を超えて保存性が非常に高い、ヒトとマウスの共通領域の遺伝子間において、ヒトでの存在が確認されているが、マウスでの存在が確認されていない領域にも着目し、その発現解析を行い検討を進めた。その中の一つとし同定されたのが、Hox-lncRNAである。約1K~2.2kbの転写産物が特定のHox遺伝子の発現上昇と同様な発現傾向を示したことから、このlncRNAの転写領域が明らかになりつつある。 今後さらに、RNA seq解析を用いることにより、Hox遺伝子A~D群にわたって探索を行い、骨芽細胞分化に関わる新規調節因子の同定を進める予定である。
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