研究実績の概要 |
未だ歯科疾患の有病率は高く,さらなる予防のためには歯科疾患の原因を作り出している環境要因を明らかにする必要がある.仕事は日常生活と密接に関連しており,15歳から65歳という幅広い年齢層の健康に影響を与える.本研究は,就業者における職場の環境要因と口腔の健康状態を明らかにすることを目的とした.本年度では,職業性ストレスと歯牙喪失の有無の横断的関連を明らかにするとともに,この関連を緩和させる要因を検討した.25歳から50歳の地域在中の住民4,385名を含んだ2次データ(まちと家族の健康調査,J-SHINE)より,週20時間以上の労働を行っている就業者1,195名を研究対象者とした.独立変数の職業性ストレスは,日本語版努力-報酬不均衡モデル職業性ストレス調査票より得た.従属変数の歯牙喪失の有無は自記式質問紙調査から得た.統計解析はPoisson regression models with a robust error varianceを使用した.研究対象者の年齢の中央値は37歳であった.48%は女性であった.性別,年齢,社会経済的要因,および,労働に関連する他の要因を調整後も,職業性ストレススコアが高かった者は1本以上歯牙を欠損していた確率が高かった(prevalence ratio = 1.20 [95% confidence interval = 1.01, 1.42]).上司のサポートがあったことは,この関連を緩和していた (p < 0.05).
|