研究課題/領域番号 |
18J00022
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
須山 雄介 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | トーリック多様体 / ファノ多様体 / 2ファノ多様体 / 高次サイクル / del Pezzo曲面 |
研究実績の概要 |
トーリック幾何学に関して次の結果を得た. 1. 第 2 Chern 指標が正でピカール数が 3 の非特異射影的トーリック多様体が存在しないことを,Batyrev によるピカール数 3 の非特異射影的トーリック多様体の分類を用いて示した.ピカール数 2 以下では第 2 Chern 指標が正の非特異射影的トーリック多様体は射影空間に限ることがすでに知られているので,2 つの結果を合わせることにより,第 2 Chern 指標が正でピカール数が 3 以下の非特異射影的トーリック多様体は射影空間に限ることが従う.(佐藤氏との共同研究) 2. 3 以上の各整数 d に対し,第 d Chern 指標が正でピカール数が 2 の d 次元非特異トーリック Fano 多様体を構成した.具体的には射影空間上の d-2 次元射影空間束である.これは,第 2 Chern 指標が正の非特異完備トーリック曲面が射影空間に限ることとは対照的である.(佐藤氏との共同研究) 3. 特異点の個数が 2 個または 3 個のトーリック log del Pezzo 曲面をそれぞれ分類した. 4. コンピューターで交点数を計算することにより,第 2 Chern 指標が正のトーリック Fano 多様体は次元が 7 以下では射影空間に限ることを示した.より強く,次元が 7 以下でピカール数が 2 以上では,del Pezzo variety とよばれる多様体を除くすべてのトーリック Fano 多様体に対し,トーラス不変部分曲面で特にピカール数 2 のものが存在して,第 2 Chern 指標との交点数が 0 以下になることがわかった.(佐藤氏,佐野氏との共同研究)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り,トーリック多様体の Chern 指標に関する結果が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
第 2 Chern 指標が正の非特異射影的トーリック多様体が射影空間に限るかという問題に関する研究を福岡大学の佐藤氏とともに行う.また,トーリック log del Pezzo 曲面に対し,これまでの結果を足掛かりに,非特異 2 次元多面錐の個数の上限を求める.
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