研究課題/領域番号 |
18J00045
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
鈴木 大地 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / ノックイン / ヤツメウナギ / in vivo パッチクランプ法 |
研究実績の概要 |
本年度は、前半期ではまず CRISPR-Cas9 ノックイン実験をヤツメウナギに対して行った。その結果、ヤツメウナギにおいてCRISPR-Cas9 システムによるノックインが実際に可能であることが明らかとなった。脊索マーカー遺伝子の Bra を標的にした実験では予定脊索領域特異的に、筋細胞マーカー遺伝子の MA2 を標的にした実験では筋細胞特異的にレポーター遺伝子(GFP)の発現が見られた。導入効率やモザイク性にも問題はなく、作成効率や応用性を鑑みればきわめて有用な技術として発展する可能性がある。またヤツメウナギ幼生を用いた in vivo パッチクランプ法の実験についても前年度から引き続き効率的な実験系の確立を進めた。 後半期にはスウェーデン・カロリンスカ研究所の Sten Grillner 研究室に滞在し、成体ヤツメウナギにおける切片パッチクランプ法の技術を習得した。ヤツメウナギ成体を開頭して rhodamine-dextran を任意の脳領域に注入後、縫合する手術を行い、数日後に脳を取り出して低融点アガロース中に包埋、ビブラトームにて切片を作成した。取得した切片を蛍光顕微鏡下で検鏡し、蛍光が確認できた細胞に対しガラスピペットをアプローチさせ、神経活動を記録した。Sten Grillner 研究室はヤツメウナギを用いたパッチクランプ法を行っている唯一の研究室であり、当研究室に滞在して技術を習得できた経験は、本研究で構築を目指す、ヤツメウナギ幼生を使った in vivo パッチクランプ法の実験系の確立にきわめて有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヤツメウナギ幼生に対する CRISPR-Cas9 ノックイン実験を成功できたことは大きな進展である。後半期に成体ヤツメウナギにおける切片パッチクランプ法の技術を習得したことも、ヤツメウナギ幼生を使った in vivo パッチクランプ法の実験系の確立に役立てることができる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、CRISPR-Cas9 ノックイン実験については実験を進め、手法を確立する。とくにGABA作動性ニューロン特異的な遺伝子を標的にした実験を行い、GABA作動性ニューロンにレポーター遺伝子を発現させて可視化する。この胚を用いて、GABA作動性ニューロンを標的として電気生理学的に神経活動を記録する。また発展的な実験として、Dendra2を用いたphotoconversion実験も行う。具体的には神経堤細胞マーカーであるSoxEを標的遺伝子として神経堤細胞特異的にDendra2を発現させ、遊走前の神経堤細胞の一部のみに紫外光を照射することにより特定の細胞集団だけ蛍光色を変化させ、経時的に遊走過程を追うことにより遊走経路を特定する。
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