捕食ー被食関係が多様性形成プロセスに与える影響を解明するため、複数のシステムを対象として、研究を行っている。特に日本列島における被子植物と蝶類のシステムでは、日本で収集されてきた蝶各種の在情報のデータを用いて、蝶類の寄主特異性が北に行くほど、高くなるという従来の仮説と逆になるパターンを発見した。さらにそれらが気候勾配や蝶類の体サイズなど様々な要因に影響されている可能性を明らかにした。本成果は学術論文としてまとめ、現在査読付き国際誌に投稿中である。加えて、この研究の中で収集した蝶類の体サイズデータについては、データペーパーとして受理され掲載予定である。さらに現在蝶類については季節変動、島でのパターンなどについて、様々な視点から取り組んでいる。また、カエデ属植物とハマキホソガ属蛾類を中心としたシステムに関するテーマについては一般向けの学術雑誌に寄稿し、掲載された。 数理生態学的なアプローチから、捕食と被食関係がどのように時間的に変動し、それぞれの種の存続性や全体としての多様性に影響を与えるかについてシミュレーションを実施している。 今後はこれらの知見で得られた内容から捕食ー被食関係が多様性形成プロセスに与える影響について、個々の系の共通性と相違性についてまとめ、捕食ー被食関係を考慮することによって、これまでに多様性研究の中で見逃されてきた点について整理する予定である。まとめた内容については学会発表もしくは学術論文として総説として発表する事を計画している。
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