研究実績の概要 |
1.培養細胞発現系を用いたオーファン受容体 Xの機能解析 近年、刷子細胞にコハク酸受容体GPR91が発現し、原虫代謝物のコハク酸を受容することで原虫の排除応答が引き起こされることが明らかになった。一方、線虫に対する感染防御に寄与する受容体は同定されていない。当研究室では、これまでに刷子細胞の頂端部に局在して発現するGタンパク質共役型受容体として、オーファン受容体Xを発見している。そこで、受容体Xが腸管寄生線虫に対する感染防御機能を担うのではないかと考え、培養細胞発現系を用いて線虫抽出物の受容体X活性化能を調べた。また、化合物ライブラリー(合計13,000サンプル)を用いて、オーファン受容体Xのリガンド探索を行った。 2.in vivo カルシウムイメージングを用いたオーファン受容体Xのリガンド探索 刷子細胞特異的に赤色蛍光タンパク質tdTomatoを発現するトランスジェニックマウスの作出に成功した。また、このトランスジェニックマウスとカルシウムバイオセンサーYC3.60発現トランスジェニックマウスを交配することで、刷子細胞を特異的に蛍光標識したYC3.60マウスを作出することに成功した。更に、この2重トランスジェニックマウスを用いて、in vivo カルシウムイメージングを試みた。その結果、コハク酸やsalicin投与時に、刷子細胞(tdTomato陽性細胞)とその周囲において蛍光比の上昇が観察された。今後は、1,2より得られた成果をもとに、生体内における受容体Xの役割を明らかにしていきたい。
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