研究課題/領域番号 |
18J00527
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
水高 将吾 茨城大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 複雑ネットワーク / 自己組織化臨界現象 / フラクタル |
研究実績の概要 |
これまでに、成長と崩壊の複合ダイナミクスがネットワーク構造そのものを臨界近傍へと近づける自己組織化臨界ダイナミクスとなりうることがモデル研究によって示されている。このモデルの定常状態においては、自己組織化臨界ネットワークはフラクタル性を獲得し、クラスターサイズ分布はベキ分布に従う。また、ネットワーク上のダイナミクス(カスケード)の規模においても特徴的な大きさが失われた臨界状態になっており、その頻度分布はベキ分布に従う。しかしながら、種々の臨界指数を結ぶ関係式や、どのような臨界指数が許されるかはわかっていない。そこで本研究では、自己組織化臨界ダイナミクスによるネットワーク形成の単純モデルを提案し、その臨界特性の理解を目指す。具体的には、単純モデルの提案及び提案モデルの普遍クラスの解明、臨界指数の関係解明、どのような普遍クラスが許されるかを解明することを目的とする。 2018年度は、自己組織化臨界ダイナミクスによってネットワーク構造が臨界へと近づく単純モデル(以下、自己組織化臨界モデル) を提案した。自己組織化臨界モデルの定常状態における統計的性質を大規模数値シミュレーションによって数値的に解析し、このモデルの臨界特性が平均場クラスに属することを明らかにした。この成果については論文としてJournal of Physical Society of Japanより論文を出版した。また、関連する国際会議において講演を行なった。さらに、提案する自己組織化臨界モデルを記述する時間発展方程式を導出した。この方程式の解析性については現在研究を遂行している段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って、自己組織化臨界ダイナミクスによるネットワーク形成の単純モデルを提案した。この成果についてはすでに論文として出版されている。また、数値シミュレーションに関しては計画以上に進展している一方、時間発展方程式の解析に関しては若干の遅れがある状況である。従って、おおむね順調に研究を遂行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、おおむね順調に研究計画を遂行できているため、今後も計画に沿って研究を発展させていく予定である。まず、2019年度は2018年度に提案した自己組織化臨界モデルを発展させることで、定常状態の臨界性とモデルパラメータの関数関係を明らかにする。そのために、数値シミュレーションによっておおよその挙動を理解する。数値シミュレーションと並行して、本モデルの時間発展方程式の解析に取り組む。
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