研究課題/領域番号 |
18J00674
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
中川 威 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, NILS-LSA活用研究室, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | ポジティブ感情 / 幸福感 / 高齢期 / 加齢 / 高齢者 / 健康 / 長寿 / 縦断研究 |
研究実績の概要 |
「病は気から」という諺を裏付ける実証的知見が蓄積されつつある。しかし、感情も健康も、長期的に変化する側面もあれば、短期的に変動する側面もあり、心身の関連は時間経過の中で相互にどのように関連し合うかは、不明な点が多い。そこで本研究課題では、高齢期における感情と健康の縦断的な相互関連を明らかにすることを目指す。 本研究計画では、1)年間隔で実施した2つの縦断研究のデータを用いて、感情と生存・疾患の関連を検討するとともに、2)日あるいは時間隔で実施した2つの縦断研究のデータを用いて、感情と身体活動の関連を検討すること、以上2つを目的とした。 3年間の研究計画のうち、2年目には、1)感情の長期的変化と短期的変動をより詳細に記述することを目的として、疾患罹患や離死別といったライフイベント前後の感情の変化に加え、感情の短期的変動の長期的変化に着目した分析を行った。さらに、2)感情と疾患罹患の関連を検討する分析を行った。 研究結果を要約すると、1)感情の長期的変化に関しては、感情は、加齢という時間経過に加えて、配偶者との死別や定年退職といったライフイベントによっても変化するとともに、自らの死が近づくに伴って変化することが明らかになった。また、感情の短期的変動の長期的変化に関しては、高齢者では、2年という比較的短期間では変化せず、比較的安定していることが明らかになった。さらに,2)ポジティブ感情とネガティブ感情はいずれも疾患罹患を予測しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感情の長期的変化と短期的変動を記述する研究を進め、学術雑誌および学会発表で報告した。さらに、感情と生存の関連を検討し、研究結果の一部を学会発表で報告した。 感情と疾患の関連、感情と身体活動の関連に関しては、国内外の共同研究機関(チューリッヒ大学、大阪大学、東京都健康長寿医療センター研究所)で収集を終えた縦断研究のデータ整理を進めた。ただし、疾患や生理機能を含む豊富な医学的変数のデータセット作成や解析計画の立案に時間を要するため、今年度は、引き続きデータ整理を進めるとともに、感情と健康の関連に関する分析を進める計画である。 以上の進捗状況を踏まえ、概ね2年目の研究計画を達成できているが、引き続きデータ整理と分析を要すると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、2年目までに分析を終えた研究成果を学術雑誌に投稿する。 また、引き続き国内の共同研究機関にてデータ整理を進めるとともに、感情と健康の関連に関する分析を進める。特に、感情は疾患罹患を予測しなかったことから、疾患罹患以後の重症度や回復に感情が影響しているか詳細に検討する計画である。 ただし、国外の共同研究機関にて収集したデータを用いた分析については、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、諸外国への渡航が中止されたため、国外の共同研究機関に滞在する予定を保留し、国内の共同研究機関にて収集したデータを用いた分析を進める計画である。
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