今年度は、4月にKAGRAの重力波観測が2週間実施された。ドイツにあるGEO600という重力波観測実験が同時期に観測を行なっていたため、KAGRAとGEO600 のデータを用いた重力波の探索が進行中である。この解析で、私は検出器の動作状態が正常であったかどうかを判断するための解析を担当している。 解析の一つは、データ解析に使うことのできる時刻を特定し、セグメントファイルとしてコラボレーションに提供したことである。重力波干渉計は、複数のレーザー共振機が全て共振状態にないと十分な感度のデータを取ることができないので、共振状態を維持していることがまず条件として挙げられる。また、データの読み出しでエラーになっている時刻があることが判明したので、それらは取り除いた。今回の観測中にはFermi 望遠鏡によるガンマ線バーストのアラートが出ており、KAGRA はその時刻は元々メンテナンス中となっていたが、実際の状況やデータを確認し、データ解析に利用することができることを示した。そして、オンラインで作成していたデータの一部にバグがあることを見つけ、オフラインで修正した。 また、ハードウェア由来の突発的なノイズを特定する解析を行なった。重力波干渉計は非常に感度が高いため、重力波以外の外乱を信号として拾ってしまうことがある。KAGRAではこれらのノイズ源を特定できるように、干渉計の要所要所に地震計・加速度計・磁束計・マイクなどの環境モニターを設置してデータを取得したり、鏡の揺れを観測するセンサーや入射レーザーのモニターなどのデータを取得したりしている。 hveto を用いて、各チャンネルと有意に相関のあるトリガーをveto している。
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