研究課題/領域番号 |
18J00693
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
成田 千尋 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | アジア民族反共連盟(APACL) / 冷戦体制 / 蔡璋 / 在沖コリアン / 朝鮮人「軍夫」 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第二次世界大戦前後に朝鮮半島出身者が沖縄に定住し、社会から忘却され、沖縄返還が実現に至る過程で発見されるまでの経緯について、冷戦体制下における米国の沖縄の排他的統治が韓国と沖縄の関係に与えた影響に焦点を当て、明らかにすることである。2018年度は、主に1940年代から50年代を中心に、東アジア冷戦体制の形成と韓国の沖縄認識について検討を行った他、次年度以降に向けて在沖コリアンの起源及び米国の出入域管理政策に関する資料収集等を行った。
①東アジア冷戦体制の形成と韓国の沖縄認識について:韓国政府及び中華民国政府が中心となって1950年代に設立したアジア民族反共連盟の変遷及び、そこに琉球代表として参加した在台湾琉球人の蔡璋の活動について検討した。史料については、収集済みの史料を精査した後、台湾の中央研究院近代史研究所及び国史館、米国のケネディ大統領図書館及び国立公文書館で課題に関わる史料収集を行い、併せて分析を行った。その成果は、韓国で開催された日韓関係シンポジウム(於国民大学校)及び、ソウル大学校人文学研究院国際学術会議(於ソウル大学校)において報告し、論文化した。
②在沖コリアンの起源及び米国の出入域管理政策について:沖縄において、沖縄戦に動員された朝鮮人「軍夫」についての調査・研究活動を行っている研究者等を訪問し、研究の状況、資料の所在などについて把握した。また、朝鮮人「軍夫」らが連行された沖縄の阿嘉島においてフィールドワークを行い、当時の状況について知見を深めた。加えて、沖縄県公文書館において、出入域管理政策に関する琉球列島米国民政府の文書などを収集した。また、戦後の韓国と沖縄の関係の概要について整理し、15年戦争研究会(於関西学院大学)で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度中に目標としていた沖縄、米国、韓国、中華民国での史料調査を実施し、史料状況について確認した他、成果を学会で報告し、学術論文の形で公表できるめどが立ったため。年度後半に実施する予定であった、1960年代の朴正煕政権の対沖縄政策については文章化できなかったが、史料がそれほどないことが確認できたため、次年度の課題の中に取り込む形で成果を発表するという見込みが立った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、沖縄返還が在沖コリアンに与えた影響について明らかにすることを目標としている。このために、前年度中に収集した史料及び学内所蔵史料を精読した上で追加的に史料調査を実施し、分析を加え、学会報告、学会誌への投稿を行う予定である。
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