研究課題/領域番号 |
18J00823
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 卓也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | コロイド / ナノバブル / 沈着 / 輸送現象 / 界面電気現象 / 電気的相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究では,共存するイオン種や腐植酸等の有機コロイドの影響に焦点を絞り,土壌中におけるコロイドおよびナノバブルの移動現象を体系的に明らかにすることを目的とする.採用初年度である当該年度は,多孔質体中のコロイド粒子の沈着が微細な気泡であるナノバブルの輸送動態に与える影響を検討するために,必要な実験系の設計・設置と実験実施に取り組んだ.当該年度の研究成果は,以下の通りである. 近年,直径 200 nm 程度の微細な気泡であるナノバブルの土壌への適用可能性が議論されている.ナノバブルは比表面積が大きく表面が負に帯電しており,汚染物質等の吸着能が高いと考えられている.そのため,ナノバブルによる汚染土壌浄化効果が期待されている.ナノバブルの土壌への注入を実施する上で,土壌中に存在している多数のコロイド粒子がナノバブルの土壌中での輸送挙動に与える影響を検討する必要がある.そこで,コロイド粒子およびナノバブルを土壌を模したガラスビーズ充填カラムに交互に通水し,充填したガラスビーズに沈着したコロイド粒子がナノバブルの輸送挙動に与える影響を調べる実験を行った.その結果,コロイド粒子を先に通水した場合については,コロイド粒子の沈着がない場合と比べてナノバブルの輸送が阻害されるという結果が得られた.この結果から,沈着したコロイド粒子が疎水的な相互作用によりナノバブルの新たな吸着サイトとして作用したということが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル土壌におけるコロイドおよびナノバブルの移動現象を研究するために必要な実験系の設計および設置と実験実施に取り組めている.着実にデータの蓄積を進められていることから,研究課題の遂行は,順調に進んでいると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,当該年度の研究成果を活用し,今後の研究を推進していく.申請時の計画に基づき,コロイドと土壌マトリクスとの物理化学的な相互作用と,土粒子周りのコロイドの移流拡散といった輸送機構を考慮した沈着理論により,コロイドおよびナノバブルの多孔質体中の輸送動態を説明することを試みる.
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