本研究の目的は、内生的な均衡の移行を可能にするメカニズムを、人間の心理・行動傾向が生む選択的相互作用という観点から明らかにすることにある。 本年度は、実験状況を調整した上で再度実験を行い、非効率的な均衡に固着する状況を実験室で再現することを試みた。入れ子型社会的ジレンマとギビング・ゲームとの連結をもちいた実験において、非効率的な均衡(下位集団内でのみ協力が達成される)に固着する状況を実験室で再現することを試みた。しかし実験の結果、下位集団内のみで協力が達成される状況は生じなかった。ギビング・ゲームとの連結では、そもそも入れ子型社会的ジレンマでの協力が促進されないことが明らかになった。これはギビング・ゲームとの連結によって通常の社会的ジレンマでは協力率が上昇するという過去の知見と反する結果である。 この研究の成果を国内学術大会において発表した。
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