研究実績の概要 |
2018年度の研究成果は、以下の3点にまとめることができる。 1.私がこれまで行ってきた研究(論文"Capital Adequacy Requirements and Financial Frictions in a Neoclassical Growth Model")を引き続き進めた。本研究では、近年のBasel III導入による更なる規制強化を踏まえ、自己資本比率規制を導入した経済成長モデルを構築し、自己資本比率規制の強化は金融市場が発達した経済において必ずしも望ましくないという結果を得た。現在、本論文の改訂を行い、国際学術誌に投稿中である。
2.企業によって異なる生産技術と担保制約に直面する経済における銀行と株式市場の機能をモデル化した。構築したマクロ経済モデルを用いて、企業の技術水準が各々の担保制約に与える影響を通じて、金融システムの変遷とマクロ経済の変動がもたらされることを示した。本研究は、論文"Credit Constraints, Financial Intermediaries, and Heterogenous Firms"として、国内のworkshopで報告を行った。
3.リスク回避度が異なる各世代の金融市場での貯蓄投資行動を通して、少子高齢化がマクロ経済に与える影響を、理論的に分析した。構築したモデルから、若年世代よりも老年世代がリスク回避的であればあるほど、少子高齢化が資本蓄積を阻害するという結果を得た。本研究は、国内のconferenceで、論文"Population Aging and Economic Growth in an Overlapping Generations Model"として、また、少し改訂を行い、論文"Risk Aversion, Population Aging, and Economic Growth"として、報告を行った。
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