今年度中(2019年4月~2020年3月)は、マイクロ流体インジェクターの開発とその評価に重点を置き研究を行った。本研究で開発を目指すマイクロ流体デバイスは、花粉管培養用のチャンバーと、花粉管の先端部位に誘引物質を与えることが出来る分子インジェクターから構成される。昨年度までの研究によって、電気浸透流とシリンジポンプによる圧力駆動流を組み合わせることで、少量の分子をインジェクションすることに成功している。デバイス内には電気浸透流ポンプを組み込んでおり、電圧を与えポンプを駆動させることで、圧力による液体の流れが生じるようになっている。電気浸透流ポンプのスイッチのオン・オフを素早く切り替えることで、微量サンプルのインジェクションが可能であることが分かった。インジェクションできるサンプルの量は調整可能であり、それは①インジェクション時間、②電気浸透流ポンプの電圧、③シリンジポンプの流速の3つの要素に作用されることから、この3つの要素がインジェクションされたサンプル量にどのような影響を与えるのかを詳細に調べた。これまでの研究結果をまとめ、来年度中に論文発表を行う。
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