研究課題
採用者は,これまで精神疾患になることで生じるメタ認知とその神経・遺伝学的基盤の変性過程ならびに効果的な介入法の構築に関わる研究活動に従事してきた.本研究課題では,うつのネガティブな自伝的記憶に対するメタ認知を用いた認知的再評価を促進する介入法の確立を目的としており,その介入法として近年注目されているbody-mind approachの一つであるヨガに焦点を当てている.これまでの報告から,ヨガが精神疾患の感情制御機能を改善することが示されてきたが (Daubenmier, 2005; Dittmann & Freedman, 2009; Eyre et al., 2016; Jensen & Kenny, 2004),その具体的な治癒機序モデルは存在しなかった。そこで,採用者らは, ヨガが持つ治癒機序としてdynamic and static component modelを提唱した (Shiota & Nomura, 2018).また,メタ認知と共感性の関連を検討し,メタ認知の各下位コンポーネントが共感性の下位コンポーネントにもたらす作用を明らかにし,その結果はすでに国際誌に投稿中である (Shiota, & Nomura, under review).次年度は,本治療機序仮説をもとに,最終年度に予定している介入実験へ向け,うつ傾向の共感性の異常にかかる神経基盤の解明,構造化ヨガシーケンスの開発,腹式呼吸の作用機序の解明を行う予定である.
2: おおむね順調に進展している
初年度は心理・神経・生理学的観点からヨガの治癒機序にかかるモデルを提唱し,予備的検討としてメタ認知と共感性の関連を検討した.これらをもとに,次年度はうつ傾向の共感性の異常にかかる神経基盤の解明,構造化ヨガシーケンスの開発,腹式呼吸の作用機序の解明を行う予定である.これらの本実験を行うための予備検討を現在進めており,本年度の予定としては,おおむね順調に進んでいると解釈できる.
うつ傾向の共感性の異常にかかる神経基盤の解明,構造化ヨガシーケンスの開発,腹式呼吸の作用機序の解明を行う予定である (現在進行中の研究であるため,詳細は省略する.).
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
Neuropsychiatric Disease and Treatment
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