研究課題
変形性膝関節症を治療し、その指標を痛みや運動能とするという目的において、報告のあるマウスのOAモデル(外科モデル2つ、コラゲナーゼモデル、パパインモデル、MIAモデル)を全て検証し、それぞれのOAモデルに特徴的な症状(軟骨の変性、骨病変、炎症など)を把握することができた。また研究室の理解もあり、動物の行動解析の機器類を用意してくれることとなり、これらモデルを用いた行動解析に着手しているところである。具体的には痛みの評価をアロディニアテスト、過重負荷の行動テスト、さらに後根神経節、脊髄レベルにおいて痛み物質を評価している。また関節可動域や運動能力の改善も変形性関節症治療において重要であると考えている。こちらに関してはローターロッド、トレッドミルを用いた解析に着手している。次に幹細胞に関しては、従来難しいとされていたマウス幹細胞の安定した培養法を確立し、動物へ投与可能な量を調製することが可能となった。ヒトの手術時の余剰検体も提供して頂けることとなり、ヒトの各組織由来幹細胞も集め始めている。治療効果と由来組織、培養方法などを組み合わせて最適な細胞薬の開発を目指している。薬剤に関しては、東京大学整形外科が以前から軟骨変性に対して有効的であると報告していたTD-198946に関して、関節内の別の構造体である滑膜に対する新たな機能を調べ、それが早くも国際雑誌にアクセプトされることとなった(PMID:30650248)。また当薬剤の新規標的シグナルも見つかってきており、現在学術雑誌に投稿中である。OAにおけるこれらシグナルを理解することで病態の理解および更なる治療薬の開発に繋げる。
2: おおむね順調に進展している
既に動物モデルを確立し、疼痛、炎症、組織の構造的解析を行う条件も整えた。また治療剤としての幹細胞、薬剤の検証も着実に進んでいる。
引き続き計画通りの検証を行う。また1年着手してきた中で病態における組織幹細胞の寄与が大きいことも明らかになってきた。今後は新たな視点を取り入れて病態および治療法を評価することで社会に還元可能な成果を導く。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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