変形性膝関節症を治療し、その指標を痛みや運動能とするという目的において、報告のあるマウスのOAモデル(外科モデル2つ、コラゲナーゼモデル、パパインモデル、MIAモデル)を全て検証し、それぞれのOAモデルに特徴的な症状(軟骨の変性、骨病変、炎症など)を把握することができた。これらのモデルでの疼痛を評価するため、市販の行動解析を行ったが、膝の損傷がマウスの痛み行動として検出されないことが明らかになった。末梢神経(関節内、関節周囲)、後根神経節、脊髄レベルでの評価もそれに相当してマウスの膝痛を捉えることはできなかった。マウスを用いたOA解析では、痛み以外に、炎症、骨棘形成を見るツールとしての有用性を感じ、炎症のin vivo imagingや骨棘発生のμCT解析の系を立ち上げた。 次に幹細胞に関しては、従来難しいとされていたマウスの脂肪幹細胞、滑膜幹細胞の安定した培養法を確立し、動物へ投与可能な量を調製することが可能となった。ヒトの膝手術時 の余剰検体からも幹細胞を採取し、各組織由来幹細胞の異なる表現型について詳細に解析した。これらの検証から、幹細胞の性能をin vitroで評価する系を考案し、汎用性のあるアッセイ樹立に着手している。
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